小学校では、将来の夢について作文を書く課題があります。多くの子どもにとって、自分の将来について真面目に考える初めての機会になるでしょう。今回は、子どもが将来の夢について作文を書く際のポイントをご紹介します。作文を書く理由についても理解しながら、より学習効果の高い作文を書けるようにコツをつかんでおきましょう。

子どもが作文が苦手…。書き方のコツはある?

学校ではさまざまな課題や宿題が子どもに与えられます。小学生レベルの算数や英語などであれば、家庭では教師の代わりに保護者が教えることあるでしょう。しかし中には、子ども自身が自力で行うことで学習価値が高まる課題も存在します。

そのひとつが、作文です。保護者は書き方のコツを教えることはできても、実際に書くことはできません。もともと文系の科目が苦手だった保護者にとっては、子どもに上手にアドバイスできないという場合も多いのではないでしょうか。

子どもが将来の夢について作文を書ければ、親は子どもの将来の夢を知ることができます。子どもの年齢が幼い頃からサポートについて考えられたり、子どもに具体的なアドバイスができたりもするでしょう。子どもに適切な教育を与えるためにも、子ども自身が将来の夢について説明できる能力が必要です。

「将来の夢についての作文」を書けるようにしておくべき理由

ここでは、子どもが「将来の夢についての作文」を書けるようにしておくべき理由を3つご紹介します。

  • 自分の気持ちを言葉にする訓練になる
  • 将来の自己アピールでも役立つ
  • 進路について考えるきっかけになる

子どもが作文を書けるようになるメリットは、学校からの評価が高くなるだけではありません。作文力の向上は、将来にも明るい影響を与えるのです。

自分の気持ちを言葉にする訓練になる

子どもにとって作文は、自分の気持ちを言葉にする訓練になります。特に将来の夢に関する作文づくりは、自分の心に秘められた願望や理想を言葉にする作業です。形のない感情を明文化していく過程で、言葉を通した自己表現力が向上します。

自分がその職業に憧れる理由について「かっこいいから」だけではなく、「なぜかっこいいと思うのか」「どのような点に憧れるのか」を自身で深掘りしながら言葉にすることで、語彙力も上がっていきます。語彙力の向上は、コミュニケーション能力にもつながるでしょう。

将来の自己アピールでも役立つ

将来の夢について作文が書けるようになると、将来自己アピールが必要になった際に役立ちます。自分の内面を言葉にして表現するのは、いつだって少し恥ずかしいものです。しかし心の本音は、言葉にしてアピールしないと周りに伝わりません。

「周りに察してもらおうとする」「言葉を使わずに気づいてもらおうとする」が許されるのは、社会に出るまでです。社会では基本的に、意見や感情は言葉にしないと気づいてもらえません。自分をアピールするための訓練を、子ども時代から作文を通して行えるのです。

進路について考えるきっかけになる

将来の夢についての作文は、子どもが進路について考えるきっかけになります。小学生にとっての将来の夢は、まだ漠然とした憧れについて書かれることが多いでしょう。しかし年齢を重ねて成長する中で、子どもは現実的に将来の夢と向き合うようになります。

自分の将来の夢が変わっていくことや、将来の夢の実現のために必要な過程を考えることを、作文を通して体感できます。特に小学生の作文づくりでは、未来の自分のビジョンと初めて真剣に向き合う子も多いでしょう。楽しい現在だけではなく不確定な未来について考えることで、子どもながらに人生や職業について考えるチャンスになるのです。

作文で将来の夢を書くときの3つのポイント

ここでは、作文で将来の夢を書くときに心がけたいポイントを3つご紹介します。

  • 最初に要点を書き、後から背景を説明する
  • 「何になる」だけではなく「何をしたいか」を意識する
  • 本音を誇張しないで素直に書く

最初は思ったままにどんどん書き進めるのもよいですが、コツをつかむことでさらに読みやすい作文になります。将来の夢の作文を、より学習価値のある課題にするためにもポイントを押さえましょう。

最初に要点を書き、後から背景を説明する

将来の夢の作文を書く際は、最初に要点を書いて後から背景を説明します。例えば「私の将来の夢は、看護師さんです。理由は~」の形になります。最初に「この作文で何を話したいのか」を明確にすることで、読み手が混乱しづらくなるでしょう。

小学生が陥りやすいミスは、時系列に沿って書いてしまうことです。もちろん時系列に沿った書き方もテクニックのひとつですが、小説のように物語性が重要視される作文でない限りは控えるのが得策でしょう。

「何になる」だけではなく「何をしたいか」を意識する

将来の夢の作文では、「何になりたいか」だけではなく「何をしたいか」を意識して書くことが大切です。例えば「歌手になりたい」だけでは、将来のビジョンがあまり伝わってきません。歌手という職業のどのような部分に憧れているのかを引き出すのがポイントです。

「歌手になってみんなに笑顔を届けたい」や「歌手になってテレビに出て有名になりたい」などの具体的な内容を書くことで、ビジョンがより明確になるでしょう。将来の夢を持つに至った背景を細分化し、心理を深堀りしていくことで完成度の高い作文になります。

本音を誇張しないで素直に書く

将来の夢の作文を書く際は、本音を誇張せずに素直に書きましょう。小学生では、まだ自分の夢をはっきりと持てていない子のほうが多いものです。なんとなく憧れている職業はあったとしても、具体的なビジョンを持てている子は少ないでしょう。

その曖昧な憧れの感情を、必要以上に美化する必要はありません。将来の夢が定まっていない状態で明確なビジョンについて書いても、現実と願望の乖離が進んでしまいます。子どもにとっても「学校の課題だから、褒められるような文章を書いただけ」になってしまうでしょう。

まだ将来の夢を持てていない子でも、本心を素直に書いて構わないのです。とはいえ「将来の夢はありません。」だけで提出するわけにもいきませんよね。将来の夢がわからない場合は、子どもの好きなことややっていて楽しいことを書き「これを活かせるような仕事に就きたい」という形でまとめましょう。