これからの社会人の必須スキルと言われている「課題解決力」。なんとなくイメージは湧いても、いざ説明するのは難しいのではないでしょうか。課題解決力とは今発生している問題を解決する力というより、問題が発生している現状をあるべき姿に変えるといったような課題を解決できる力のことです。

課題の大小に関わらずビジネスシーンでは必要な力ですが、課題解決力のある人材は少ないため貴重なスキルともいえます。この記事で課題解決力とは何なのか、子どもが課題解決力を身につけるにはどうしたらよいかを、一緒に学んでいきましょう。

課題解決力は成長していく上で必要なスキル!

 

課題解決力は社会人の必須スキルではありますが、子どもが成長していく上でも大切な力です。学校のクラスや部活動等の集団生活や自分のやりたいことの実現にも課題解決力が必要となります。課題解決力があると日々の生活の中でより成長でき、課題解決力が磨かれます。課題解決力はすぐに身につくスキルではないため、小さいうちから親が課題解決力の大切さについて知っておきたいですよね。

知識を暗記するタイプの勉強も大事ですが、課題解決力を育む学びも大切です。特に未来を生きる子どもたちにとっては、身につけておきたい力です。課題解決力はセルフマネジメントに必要な力とも言われており、キャリア形成に役立ちます。課題解決力は大人はもちろん、子どもたちもこれからどのように生きていきたいか、どんな仕事をしたいかなどを考える上で役立ちます。

課題解決力と問題解決力の違い

課題解決力と似た言葉に問題解決力があります。これから起こる可能性のある問題を予測し、あるべき姿に近づけることが課題解決力で、今起きている望ましくない状態(問題)を解決することが問題解決力です。課題解決力と問題解決力の言葉の意味は大きく異なります。

例えば、家庭のキッチンでシンクの三角コーナーにカビが生えてしまったとします。清潔であるべきシンクにカビが発生したら嫌ですよね。パパがカビを見つけて三角コーナーをきれいに洗い漂白しました。その後、ママは三角コーナーの代わりに紙製の自立するゴミ袋をシンクに置くことにしました。使い捨てのため衛生的です。

カビを見つけて三角コーナーを漂白した時点では、即座に対応したパパの「問題」解決力が発揮されました。次に共働きで忙しい我が家では三角コーナーより使い捨ての紙袋を使った方が良いと考えた、ママの「課題」解決力が発揮されました。

問題(カビ)が発生している現状を、あるべき姿(清潔に保たれたシンク)に近づけるために考えて行動する力が「課題解決力」です。実際のビジネスの場面でも問題は次々と発生します。問題の再発防止や予防のために課題を見つけて解決できる力が求められています。

問題解決力も大切ですが、問題を解決するだけであれば、モグラたたきのようにその場かぎりの対処になってしまいます。課題解決力は仕組みづくりです。問題解決力よりも課題解決力の方が高度な力が必要です。

課題解決力とは

課題解決とは、問題が繰り返し発生している現状または問題が発生する可能性がある現状を、あるべき姿に近づけていくための方法です。課題を解決できれば、問題の再発を防いだり、予防したりできますよね。

顕在化している問題もあれば、潜在的な問題もあります。何が問題なのか現状を分析し、課題を設定して解決していく力。物事を多角的にとらえたり、俯瞰的に見たり、現場感覚を磨いたり、さまざまな高度な能力が必要です。2006年に経済産業省が、社会人基礎力のひとつとして「課題発見力」を提唱しています。課題を発見して解決する力は今後の社会でますます求められるでしょう。

課題解決力が社会で必要とされる理由

課題解決力が社会で必要とされている理由は以下の3点です。

  • 社会が多様化しているから
  • 課題解決力を持つ人が少ないから
  • 成果を出すためには必須のスキルだから

社会が多様化しているから

近代の日本では、戦後の物不足の時代から大量生産・大量消費の時代へ突入しました。その後、豊かな生活がある程度定着すると商品・サービスの選択肢が多様化していきました。

情報化や国際化も加速、価値観も多様化し、企業や行政は現在多くの課題を抱えています。「質的」なものを求める社会では、商品やサービスも正解がありません。多くの解決すべき課題があり、社会人の基礎スキルとして課題を発見する力や課題解決力が必要とされています。

課題解決力をもつ人が少ないから

課題解決力を持つ人が少ないため、貴重なスキルとして課題解決力が必要とされています。残念ながら日本の学校教育は時代の転換になかなか追いつけず、課題解決力を高める教育を実践しきれていないのが現状です。

学校教育は、同じ年齢の子どもたちが集められて教室で同じことを学習する知識重視の教育です。文部科学省は子どもが主体的に学ぶアクティブ・ラーニングなどを推進し、時代に合った教育へ変革していこうとしていますが、全国の学校全てが対応できているわけではありません。

課題解決力は学校へ通うだけでは育まれないため、人材不足が生じています。

成果を出すためには必須のスキルだから

課題解決力は成果を出すための必須スキルです。世の中には数多の課題があり、ほとんどの人が苦労する大きな課題を解決できれば当然報酬も高くなるでしょう。

仕事の成果とは、目標や目的に対してどれくらい良い結果を残せたかを意味します。多くの仕事はIT技術の進歩で簡略化され、さらに考える仕事でさえもAI(人工知能)に取って代わられつつあります。人間にしかできない仕事は高度で複雑化しているため、良い結果を出すためには課題を解決する力が必須です。

課題解決力の4つのステップ

 

課題解決力を、以下の4つのステップで考えてみるとわかりやすくなります。

  1. 課題を発見する
  2. 現状と原因を把握・分析する
  3. 解決への行動を計画する
  4. 実行する

1.課題を発見する

まず課題を発見します。何が問題で、問題のある現状からあるべき姿とのギャップを考えて課題を導き出します。例えば、子ども自身が国語のテストでうっかりミスが多いことが問題と感じ、うっかりミスを減らすためにはどうすればよいかという課題を設定したとします。

2.現状と原因を把握・分析する

次に、現状と原因を把握・分析しましょう。国語のテストの例であれば、うっかりミスが起きる頻度やパターンなど現状を書き出してみます。そしてうっかりミスのパターンごとに原因を分析してみると「問題文をよく読んでいなかった」といった原因がいくつか見つかるかもしれません。

3.解決への行動を計画する

課題を発見し、現状と原因を考えれば課題の解決方法が見えてくるため、解決への行動を計画しましょう。国語のテストの例で、うっかりミスを減らすには「問題文の大事なところに線を引く」「必ず最後にテストの見直しをする」と2つの案を考えたとします。

4.実行する

最後に計画を実行します。うっかりミスを減らす例で、子どもが次の国語のテストで計画を実行してみます。そしてうっかりミスが減ったかどうかを親子で検証してみるといいでしょう。一連のステップで重要なことは、自分で課題を設定し、現状と原因を把握・分析し、解決への行動を計画・実行することです。

子どものうちに課題解決力を身につけるメリット

子どものころから課題解決力を身につけるメリットには、積極的に勉強ができるようになることと、自分の力で生きていくスキルを身につけられることがあります。課題解決力とは課題を発見して解決する力であるため、子どもが課題解決力を身につけると勉強を自分で進められるようになったり、自分で自分のことを決められるようになったりします。

親が子どもの課題解決力を育てるためには、課題解決力に得られる結果を具体的に把握しておくと良いでしょう。子どもの教育の正解か分からないこの時代、習い事や教材の選択肢は非常に多く、親もまさに課題解決力が求められています。

子どもたちはそれぞれ個性と可能性を持っています。一番の判断基準は、子どもが生き生きとしているか、楽しそうかという点でも良いでしょう。その上で、子どもの取り組みに課題解決力が育まれるプロセスがあるかを親が確認できると、より効果的です。この章では、課題解決力を子どもの頃から身につけるメリットについてみていきましょう。

積極的に勉強ができるようになる

子どもの頃から課題解決力を身につけると、積極的に勉強ができるようになります。勉強は本来、学びたいという子ども自身の内側から湧き上がるモチベーションに支えられる楽しい活動です。課題解決力を身につけていれば、自主的に勉強を進められるようになります。自分で課題を発見して解決をしていくプロセスは、達成感も得られる楽しい学びです。

自分の力で生きていくスキルを身につけられる

課題解決力を身につけると、自分の力で生きていくスキルを身につけられます。課題解決力はセルフマネジメントに必要な力でもあります。大人が自分のキャリアを考える際に生かされる力でもあり、子どもにとっても小さいうちから自分の力で生きていくスキルとなるでしょう。

子どものころは親に頼りながら生活できますが、大人になると自分の力で生きていく必要があります。自分で考える経験が少なく、課題解決力も育っていない状態で社会に出ると、必要以上の苦労が待ち受けているかもしれません。

課題解決力は、自分で生きるための重要なスキルのひとつです。

子どもが課題解決力を身につけるコツ&教え方

子どもが課題解決力を身につけるコツや考え方には、以下のようなポイントがあります。

  • 課題解決までの道のりを正しく教える
  • 日常生活の中で実践を重ねる
  • 親子でコミュニケーションをとる
  • 時には子どもを見守る姿勢が大切
  • 失敗は学びになることを伝える
  • プログラミングに挑戦する

1.課題解決までの道のりを正しく教える

課題解決までの道のりを分かりやすい言葉で正しく教えてあげましょう。子どもに抽象的な説明をしても理解できないことが多いため、具体的かつ分かりやすい言葉を使って説明してみてください。

またすぐに身につく力ではないため、課題解決のプロセスを繰り返し経験する必要があります。

2.日常生活の中で実践を重ねる

繰り返し課題解決のプロセスを経験するためには、日常生活の中での実践が最適です。例えば、料理やお菓子作りでは、簡単なレシピから始めて少しずつ難易度を上げると、上手くできないメニューも出てくるでしょう。そんなときは「何が課題なのか・現状はどうか・どんな解決策があるか・実行してみてどうか」を実践してみるチャンスです。

3.親子でコミュニケーションをとる

課題解決力を身につけるには、親子のコミュニケーションも大切です。課題解決力はひとりで調べたり悩んだりするだけではなく、対話が重要になってきます。実際のビジネスシーンでも、問題が起きる現場にはさまざまな関係者がいるため、対話をしながら課題を発見して解決することになります。

親のさりげないサポートはもちろん、親子のコミュニケーションは課題解決力を鍛えるためにとても重要です。

4.時には子どもを見守る姿勢が大切

子どもに課題解決のためのプロセスを教えたり、対話をしながら解決策を見つけたりすることはもちろん重要ですが、時には子どもを見守る姿勢も大切です。子どもが自分で考えて、自分で計画し、自分で実行することでしか、課題解決力は鍛えられません。そのためには、待つ時間も必要になります。手助けをするタイミングなのか、じっと見守るタイミングなのか、子どもの様子を観察しながらその都度判断しましょう。

5.失敗は学びになることを伝える

課題解決力を身につけるために、失敗は学びになることを子どもに伝えることも大切です。失敗無くして課題解決力は育ちません。子どもの個性や性格によりますが、今の子どもたちは失敗を恐れる傾向がみられます。しかし、本当は失敗の中にこそ学びがあります。失敗をおそれるのは「何がどれくらいできるか」のモノサシで測る今の世の中の空気を敏感に感じているからかもしれません。親がはっきりと「失敗してもいいんだよ」「失敗することは大切だよ」と伝えてあげると子どもも安心して挑戦できるでしょう。

6.プログラミングに挑戦する

課題解決力を身につけるには、プログラミングに挑戦することもひとつの方法です。プログラミングはトライアンドエラーの繰り返しです。プログラミングでゲームやアニメーションなどを作る際に、課題を発見して現状を分析し解決策を考える過程は必ず出てくるでしょう。楽しみつつ時に苦労しながらも作品を作り上げられたら、子どもの大きな学びになるはずです。

子どもの課題解決力を育てるときの注意点

子どもの課題解決力を育てるためには、注意が必要なことがあります。無意識の行動にもぜひ気をつけてみてください。

すぐに答えを教えない

何かの課題に取り組むときに「答え」を教えてしまうと、課題解決力が育ちません。親の忍耐力が試される場面ですが、今は課題解決力を育てるプロセスだと意識して、子どものペースを尊重しましょう。

子どもの性格にもよりますが、一部の教育法では子どもたちに「答えは必ずある」「早く答えを出した方がえらい」と勘違いさせるものもあります。また学校の授業の中でも計算ドリルで速さを競うといった、学校や先生のスタンスによっては子どもに誤解を与えかねない学習方法もあります。

課題解決力を育むという観点からは、むしろじっくりと自分で考えて答えを導き出したプロセスが大切です。現代はスマホやタブレットを開いて検索すれば、瞬時に知りたいことが見つかる時代です。深い学びにつながるように、自分の頭で考える練習を意図的に子どもたちにさせてあげましょう。

できないことを責めない

大人から見て簡単そうな課題であれば「なんでできないの」と思わず子どもを責める言葉を口にしてしまうかもしれません。軽い気持ちで言っただけかもしれませんが、できないことを責めないようにしましょう。

課題解決力を育むのは時間がかかります。また自由な発想や新しい視点をもつことも大切です。もし自分の出した答えやアイデアをすぐに否定されたり、できないことを責められたりしたら子どもは萎縮してしまいます。

できないことを責めるのではなく、できたことに着目してあげてください。また、たとえ答えが間違っていたとしても考えるプロセスを踏めたことを褒めてあげましょう。

子どもの課題解決力を育てるなら『Wonder Code』

子どもに課題解決力を身につけてほしいなら『Wonder Code』がおすすめです。『Wonder Code』の教室では英語でプログラミングを学べます。遊びを通してプログラミングを学べる仕掛けが盛りだくさんです。

指導者が答えを教えるのではなく、子どもが自ら考えて課題を解決するように促すようなスタイルです。プログラミング学習そのものが課題解決力を身につけられるプロセスであり、『Wonder Code』の教室では21世紀型スキルを育むカリキュラムが実施されています。

親だけで子どもの課題解決力を鍛えていこうとするのは大変ですよね。少しでも興味を持った方は、ぜひ資料請求や教室の無料体験を試してみてはいかがでしょうか。