子どもが何事にも消極的…自主性や主体性を養いたい!

子どもの個性は一人ひとりすべて違い、そのどれもが平等に尊重されるべきものです。赤ちゃんの頃はみんな似たような行動パターンだったのに、幼稚園や小学校を経由するにつれて個性がどんどん色濃くなっていくものですよね。

大人しくて一人でいる時間が好きな子もいれば、リーダーシップがあって集団行動が得意な子もいます。その個性の違いに優劣はありませんが、いずれにしても、保護者としては「自分で考えて行動する子どもに育ってほしい」と思うものです。

今回は、自主性や主体性がある子どもの特徴や、子どもの自分で考えて行動する力を育てる方法などをご紹介します。子どもが内包する自分らしさを尊重しつつ、秘められた自主性や主体性を引き出せる接し方を考えてみましょう。

自主性と主体性の違いとは

子どもの教育において、自主性と主体性は混同されがちです。この2つはまったく違う意味を持っており、子どもの能力アップに関しては違いを認識する必要があります。まず主体性とは、子どもが自らの意思や判断に基づき、自分で考えて行動する力を指します。

そして自主性とは、自分がやるべきことを他者からいわれる前に気づき、自ら率先して行動に移す力です。つまり主体性と自主性の違いとは、自分の行動パターンを決める対象に違いがあります。主体性は自分、自主性は他者が「やるべきこと」を決定しているのです。

自主性が高い子どもは、親から指示を受ける前に行動に起こせることが特徴です。一方、主体性が高い子どもは、親や他者ではなく自分自身で何がしたいかを決め、目標に向けて行動していく力を持っています。

社会生活や自分らしい人生のためには、自主性も主体性もどちらも重要な能力です。しかし、子どもが自分で考えて行動する力を養うために優先すべき能力は、どちらかというと主体性だといえるでしょう。

自分で考えて行動する子どもの特徴

ここでは、自分で考えて行動する子どもの特徴を4つご紹介します。同じ年齢の子どもでも、周りからの指示がなければなかなか動けない子もいれば、率先して行動する子もいますよね。両者の違いに注目し、教育に役立てていきましょう。

目標を自分で設定できる

自分で考えて行動する子どもは、目標を自分で設定し、ゴールに至るまでのプロセスを考えられます。例えば、勉強やテストでは「今回は70点だったから、次は80点を目標にしよう」などと考え、成績アップに必要な工程を自ら考えて実行します。

理想の自分像をハッキリと持てているため課題発見能力が高く、今の自分に足りない要素を客観的に判断・発見して、改善策につなげていく強さを持っていることが特徴です。小さな目標をコツコツと積み重ね、無理なくレベルアップできることでしょう。

周りの意見に流されにくい

周りの意見に流されにくいことも、自分で考えて行動する子どもの特徴です。周囲の意見を自分の行動のための参考として活用するケースはありますが、他者の価値観に流されて自分を見失ってしまうことはありません。

このような子たちは、自分は自分、他人は他人という考え方を子どもの頃から持っています。周りに流されて自分らしさを失ってしまうことを恐れており、後悔が残ると考えているのです。時に頑固になってしまうこともありますが、自分の軸を持っているため、周囲の人を寄せつけるタイプだといえます。

発言力があり人が寄ってきやすい

自分で考えて行動できる子どもは、周囲の子と比べて発言力が高い傾向にあります。発言力とは、自分の発言によって周りを納得させたり従わせたりする影響力のことを指します。発言力を高くするためには、論理的な考え方や説明力などが必要です。

相手に伝わりやすい説明をするためには、まず自分自身の考え方が明確でなくてはなりません。自分ならではの行動理念を持ち他者に依存しない考え方を持っている子どもは、思考を言葉にする際に遠回りする必要がなく、影響力のある発言ができるのです。

論理的思考力が高い

自分で考えて行動するためには、論理的思考力も求められます。論理的思考力とは、情報や経験、知識などをつなぎ合わせて物事を体系的に考える力です。どれほど自分らしい考え方や価値観を持っていたとしても、論理的思考力が足りない場合は、結局何をすればよいのかがわからなくなってしまいます。

論理的思考力は、ビジョンや理念を具体的な行動に示すために求められる能力です。また、自分で設定したゴールに届くまでの道程を考える力だともいえるでしょう。

自分から行動するには勇気が必要…

何事においても、自分ですべてのリスクを抱えて行動を起こすことは難しいものです。発言や行動に常に責任が伴うのは、大人も子どもも変わりません。子どもが自分らしく生きたいと願っても、責任やリスクに臆病になり、周りに合わせてしまうこともあるでしょう。

精神的・社会的なリスクヘッジは決して悪いことではありません。しかし、主体性に伴うリスクを避け続けていては、自分らしい人生を歩めなくなってしまいます。まずは子どもがほんの少しの勇気を出せるよう、背中を押せる方法を探していきましょう。

子どもの「自分で考えて行動する力」を育てる7つの方法

ここでは、子どもが自分で考えて行動する力を育てる方法を7つご紹介します。すべての子どもには、生まれ持った個性によって思考のベクトルは変わるものの、自分で考える意思があるものです。家庭でのサポートで主体性や自主性を引き出し、子どもの個性をさらに彩りましょう。

失敗を責めずに次につながる問いかけをする

子どもが自分で考えて行動する力を養うためには、子どもの失敗を責めずに、次につながる問いかけをするコミュニケーションが大切です。失敗を責め続けると子どもは委縮してしまい、挑戦意欲自体を失ってしまいます。

「失敗は悪いことではないこと」や「本当の失敗は、失敗を反省せずにまた同じ失敗をしてしまうこと」などを教えつつ、未来の成功体験につなげていきましょう。失敗を前向きに受け取ることが、主体性のための第一歩となります。

オープンクエスチョンでコミュニケーションをとる

子どもの自主性や主体性を養うためには、オープンクエスチョンでコミュニケーションを取る習慣を心がけましょう。オープンクエスチョンとは、「はい」と「いいえ」以外でやり取りするコミュニケーションを指します。

例えば「夕食はハンバーグでいい?」と聞くのではなく、「夕食は何が食べたい?」のように質問しましょう。子どもが自分で考えて判断する習慣を取り入れることで、自分らしさを獲得するきっかけとなります。

過程や行動力を評価する

子どもに自分で考える力をつけさせるためには、結果と同様に過程や行動力を評価しましょう。社会に出ると結果のみが重要視されがちですが、そもそも結果を出すためには相応の努力や工夫が必要です。

成績表やテストの点数のみで子どもを判断せず、どのような努力をしたかを評価することで、子どもの自己肯定感が芽生えます。例えば、子どもが「テストで満点をとったこと」だけを評価するのではなく、「1点でも上げるために努力したこと」を評価することが大切です。目標達成の過程へのモチベーションを上げることで、子どもの自主性や主体性を促していきましょう。

子どもの心身に余裕がある環境を維持する

子どもの自分で考える力を育むためには、子どもの心身に余裕がある環境が必要になります。例えば勉強や部活で毎日ヘトヘトに疲れていたり、親からのプレッシャーを重く受け取っていたりする環境では、自分で物事を考えるための余裕が生まれません。

与えられた責務をこなすことに精一杯になり、自分の思考を巡らせる余地がなくなってしまうのです。子どものスケジュールに余裕を設け、家庭に居心地のよさを感じてもらえる工夫を取り入れていきましょう。

主語と動詞の組み合わせを意識して接する

子どもとコミュニケーションをとる際、主語と動詞の組み合わせを意識して接することで、子どもの思考力が上がります。親子という近しい関係だからこそ簡略化したコミュニケーションを取りがちですが、今一度正しい文法での会話を心がけてみましょう。

例えば「夜何食べる?」ではなく、「〇〇(子どもの名前)は夕食に何か食べたいメニューがある?」や「お母さん(お父さん)は今夜ハンバーグを作る予定なんだけれど、〇〇(子どもの名前)はどんな味付けがいい?」などのように話します。主語・述語・修飾語・副詞・助詞などが明確に含まれた会話が日常的になると、子どもが物事を考える際、体系的に思考しやすくなるでしょう。

気持ちを言葉にしてもらう習慣をつける

子どもの自分で考える力を養うためには、思考を言語化してもらう習慣を持ってもらいましょう。これにはオープンクエスチョンが効果的ですが、読書や創作物を通して語彙力をつけることも大切です。

また、水平思考ゲーム・マーダーゲーム・人狼ゲームなど、思考の言語化が大前提として求められるゲームを一緒に楽しむのもよいでしょう。ゲームなどを通して委縮せずリラックスした状態で思考を言語化できる状態は、自分らしい表現力を培うための土台となります。

目標や方法の設定を習慣化させる

日常的に目標を設定する習慣を取り入れることも、子どもの自主性や主体性を養うための要素です。その際、大きな目標だけではなく、実現可能な小さな目標を積み重ねて成功体験を得ることが大切でしょう。

時には困難な目標を設定して失敗することもありますが、それも一つの勉強です。自分の能力を客観的に分析しつつ、スキルアップにつながるスケジューリングをさせるようにしましょう。勉強・ゲーム・お手伝い・スポーツなど、娯楽も含めて細かく目標設定させることを推奨します。