子どもが家で勉強しない…自宅学習を習慣化させる方法はある?

「子どもにはしっかり勉強してもらって安定した将来を歩んでほしい」とは思っても、子育ては思い通りにはいかないものですよね。幼稚園や保育園に通っていた頃は「元気でいてくれればいい」と思っていても、小学校に入った子どもがまったく勉強をしない姿を見ていると不安を抱いてしまいます。

周りの子どもを見ていると、学校でも家でもしっかり勉強できているケースも見受けられます。もちろん元気でいてくれることが一番大切です。とはいえ、遊んでばかりの子どもを見ていると「今のうちに自宅学習の習慣を付けておいたほうが、将来困らないのでは?」と思うこともあるはずです。

今回は小学生の子どもが自宅学習を嫌がる理由や、自宅学習を習慣化させる方法などをご紹介します。闇雲に自宅学習を押し付けるのではなく、子どもの個性や心理に寄り添いながら適切なコミュニケーションをとっていきましょう。

小学生の子どもが自宅学習を嫌がる理由

ここでは、小学生の子どもが自宅学習を嫌がる理由をご紹介します。子どもが自分から勉強しない日々が続くと、つい焦って強い言葉を言ってしまうこともありますよね。その前に一歩立ち止まり、なぜ子どもが自宅学習を嫌がるのかを考えてみましょう。問題点を絞ることで、子どもに合ったベストな接し方が見えてきます。

集中できる環境が整っていない

小学生の子どもが自宅学習を嫌がる場合、家で勉強に集中できる環境が整っていない可能性があります。子どもの個性や特性によって、勉強に集中できる条件は違うものです。無音のほうが集中できる子もいれば、音楽がかかっていないと気が散ってしまう子もいるでしょう。

一般的な学習環境のイメージを保護者が押し付けているケースも少なくありません。例えば「学習机の照明は明るいほうがいい」と思って蛍光灯を設置しても、子どもの目には明るすぎてストレスになっていることがあります。子ども自身がストレスの原因を認識していないと、どこから改善するべきかわからない状態になってしまうでしょう。

学習のレベルが高く理解が追いついていない

学習のレベルが高く理解が追いついていないと、勉強自体にストレスを感じてしまい自宅学習がおろそかになりがちです。勉強を頑張ろうとする気持ちはあるものの、努力が報われない時期が続くとモチベーションが低下してしまいます。

勉強=ストレスがたまるものというイメージがついてしまい、ストレスの原因から逃げるように自宅学習が後回しに。特に子ども自身が自分と周りを比べてしまうとコンプレックスが芽生え、勉強にますます苦手意識を持ってしまうでしょう。学校では嫌でも勉強しなければならないからこそ、せめて家では自宅学習というストレス源から距離を置きたいのです。

周りの友達の環境と比べてしまう

小学生の子どもが自分の環境を周りの友達と比べてしまうと、自宅学習のモチベーションが低下しがちです。学力面はもちろん、家庭環境も比較対象になります。例えば身近な友達が自由な教育方針の家庭で育っており、勉強も遊びも好きにしてもいい環境の場合、羨ましさを感じてしまいます。

「友達は自由に遊べるのに、どうして自分は家でも勉強しなくてはならないのか」や「勉強なら学校でもしているから、家でわざわざする必要はない」などのように感じ、自宅学習に反抗的になることも。家庭によって方針は違うことを子どもに教えても、なかなか納得してもらえないものです。

何のために勉強するのかわからない

小学生の子どもが勉強の目的を理解していない場合、自宅学習にも消極的になります。子どもにとって勉強が役立つ未来は遠く、目の前にある勉強に対して抱えるストレスにばかりに意識が向いてしまうでしょう。「社会に出たら役に立つ」と言われても、何年も先の未来よりも「今楽しいことをしたい」という気持ちに引っ張られてしまうのです。

勉強の意図がわからない子どもにとって自宅学習の時間は、自由時間を邪魔する存在です。学校という勉強を強制される場所から帰宅したのにもかかわらず、家でもストレスの原因である勉強に縛られると思うと嫌気が差し、すべてを放り投げだしたくなってしまうでしょう。

自宅学習・家庭学習を行うメリット

ここでは、自宅学習・家庭学習を行うメリットをご紹介します。小学生の子どもに自宅学習してもらうためには、保護者がメリットを正しく認識していることが大切です。子どもに「どうして家でも勉強しないといけないの?」と聞かれたときにすぐに答えられるよう、今一度自宅学習の効果を学んでおきましょう。

学校の勉強が身につきやすくなる

自宅学習を行うことで、学校の勉強が身につきやすくなります。人生におけるあらゆる学業や習慣は、反復練習や訓練によって定着するものです。特に勉強が苦手な子どもの場合、学校の授業で学んだだけではすぐに知識を忘れてしまいます。大人でも、興味のない話は次の日には忘れてしまいますよね。

記憶や知識を定着させるためには、何度も繰り返し復習する姿勢が求められます。学校での勉強と自宅学習は基本的に別物です。知識を知識として正しく活用するためには、習ったことを家で反復し自分のものとして獲得する必要があるのです。学校の勉強は知識を入れる作業であり、自宅学習は知識を忘れないようにする作業だと認識しましょう。

一人で勉強する習慣が身につく

小学生の頃から自宅学習に慣れておくことで、一人で勉強する習慣が身につきます。小学校の授業内容は、多少不明点があってもなんとかなるケースが多いものです。しかし中学、高校と進学では、わからない部分をそのままにしておくとどんどん授業に置いていかれてしまいます。

また一人で勉強する習慣がない子どもにとって、受験勉強は必要以上のストレスを感じるものとなるでしょう。社会に出た後も、仕事を覚えたり資格をとるために勉強したりするなど、一人で学ぶ機会は多いものです。小学生のうちから一人で勉強する習慣をつければ、将来の苦労も軽減できます。

自立心や自主性が芽生える

自宅学習の習慣が定着すると、小学生の頃から自立心や自主性が芽生えてきます。自分で目標を設定して最後までやりきることは成功体験になり、子どもの自己肯定感を高める要因になるでしょう。自宅学習を繰り返すごとに精神的に自立し、能動的に学習する姿勢が身につきます。

親から言われる前にやるべきことをできる子どもは、自分の人生を自分で決める力にも恵まれます。自宅学習は勉強の補佐だけではなく、状況判断力や課題解決力を高めるための訓練にもなるのです。受験勉強のシーズンになっても、自分で計画的な勉強習慣を取り入れられる子どもに育っていくでしょう。