【この記事の目次】
エンジニアの定義とは
エンジニアはいわゆる技術者のことで、工学(エンジニアリング)に関する知識やスキルを持った専門家です。工学とは、数学・化学・物理学をベースに工業生産に応用する学問であり、工業に役立てることが目的の分野です。例えば機械工学や土木工学などの種類がありますが、この記事では、情報技術に関する知識やスキルを持った「ITエンジニア」に焦点を当てて解説していきます。
プログラマーとエンジニアの違い
エンジニアとよく比較される職業にプログラマーがありますが、両者にはどのような違いがあるのでしょうか。
簡単に説明すると、エンジニアがシステム開発の設計から運用までを担う一方で、プログラマーは設計書にそってプログラミングをしたりコーディング作業や修正作業をしたりするという違いがあります。
このようにエンジニアとプログラマーの仕事内容は大きく異なりますが、ベンチャー系の企業など小規模な組織では、システムエンジニアがプログラマーを兼任するのはよくあることです。そのため両者は混同されやすくなっていますが、エンジニアとプログラマーは別の職種と考え、キャリア形成について考えていくことが大切です。
エンジニアに向いている人の特徴
エンジニアに適している人は、以下のような人であるとされています。
- 論理的に考えられる人
- コミュニケーション能力がある人
- IT分野への好奇心や学び続ける意欲がある人
- 協調性があり、かつ自発的に動ける人
- 課題発見力や課題解決力がある人
エンジニアはシステムを構築していく仕事ですが、主な仕事相手は人間です。お客さんも人間ですし、システムの利用者も一緒に仕事をする仲間(プログラマーなど)も人間ですよね。ITについての専門的な知識や見識はもちろん必要ですが、コミュニケーション力や協調性なども必須だといえます。
また、エンジニアはオペレーターではありませんので、自分の頭でその都度考え行動する必要があります。開発現場の状況にもよりますが、IT分野における新しい知識を入れつつ物事を論理的に考え、仲間とプロジェクトを成功に導いて行ける人がエンジニアに向いているといえるでしょう。
エンジニアの種類
この章では、システムエンジニアやアプリケーションエンジニアなど、ITエンジニアの種類と仕事内容について解説します。
1.システムエンジニア
システムエンジニアは、ITシステムの設計・開発・テストなどを行う技術者です。SE(エスイー)とも呼ばれ、クライアント(お客さん)の要望を分析し、どのようなシステムを作るのかを考えていきます。プログラマーがシステム開発できるように仕様書や設計書などを作成したり、プログラミングをしたりすることもあります。
2.アプリケーションエンジニア
アプリケーションエンジニアとは、アプリケーション開発をするシステムエンジニアのことです。なお、アプリケーションの開発以降の工程を担当するエンジニアを指す場合もあります。
アプリケーションとは、特定の目的を持ってOS上で動作するように開発された専用ソフトのこと。身近なところでいうと、スマホで使えるチャットアプリのLINE(ライン)や地図アプリなどが挙げられます。
3.フロントエンジニア
フロントエンジニアとは、WebサイトやWebアプリケーションで、ユーザー(使う人)から見える部分を担当するエンジニアのことです。例えば、Webサイトならデザイナーから画面のデザインデータを受け取り、Web上で表示できるように専用の言語(HTMLなど)で画面を作っていく作業を担います。また、Webブラウザ側で動く仕組みを作るのもフロントエンジニアの役割です。状況によってはマークアップエンジニア、コーダーなどと呼ばれることもあります。
4.バックエンドエンジニア
バックエンドエンジニアは、WebサイトやWebアプリケーションでユーザー(使う人)から見えない部分を担当するエンジニアです。例えばショッピングサイトの場合、大量の商品データがサーバーのデータベースに格納されており、データベースから必要なデータを取り出してWebサイトのページに表示させるような仕組みを作ります。このように裏側で動いている仕組みなどを構築するのが、バックエンドエンジニアの役割です。
5.サーバーエンジニア
サーバーエンジニアとは、サーバーの構築や管理を担うエンジニアのことです。サーバーとはサービスを提供する側のコンピューターのことで、サービスの目的ごとに、ファイルサーバー・Webサーバー・データーベースサーバーなどが用意されます。サーバーを管理・構築する専門のエンジニアがいる場合もありますし、その他のITエンジニアがサーバーエンジニアを兼任する場合もあります。
5.データベースエンジニア
データベースエンジニアは、データベースの開発・設計や運用などをするエンジニアのことを指します。ITエンジニアがプログラミングをする際に、データベースからデータを取り出したり、データベースを構築したりするのはよくあることです。しかし、データベースの専門家はまだまだ少なく、データベースエンジニアの需要が高まっていると考えられています。
6.セキュリティエンジニア
ITエンジニアの中でも、セキュリティに特化したエンジニアであるセキュリティエンジニア。システムに弱いところが無いかどうかをチェックし、サイバー攻撃を防ぎます。ネットワークやシステムを外部の攻撃から守るエンジニアです。
7.クラウドエンジニア
クラウドエンジニアとは、クラウドで動くアプリやサービスに特化したエンジニアです。クラウドはクラウドコンピューティングの略で、ユーザーがインターネット経由でサーバーのストレージを利用したり、アプリを利用したりするサービスの形です。近年クラウドのサービスが増えてきているため、活躍の場が広がると考えられています。
【種類別】エンジニアの詳しい仕事内容
この章では、システムエンジニアやフロントエンジニアなど、各エンジニアの具体的な仕事内容を紹介します。
1.システムエンジニア
システムエンジニアの仕事内容は、顧客の求めるシステムを構築するために仕様書や設計書を作成することです。例えば、ある企業が「在庫管理システム」を独自に構築したいとします。システムエンジニアは企業の担当者や現場の人たちにヒアリングをして、要件定義書を作ります。そのうえでシステムの仕様を決めた仕様書や、画面・動作などの設計書を作成、顧客からの確認が済んだら実際にシステムを構築していくというわけです。
途中でテスト運用してみて修正が入った場合は、システムのテストをしてバグ(エラー)を修正していきます。システム開発の手順についてはいくつかの手法があるので一概にはいえませんが、顧客対応やプロジェクトチームを率いる大事なポジションだと考えられます。
2.アプリケーションエンジニア
アプリケーションエンジニアの仕事内容は、ユーザーや顧客の求めるアプリケーションを構築することです。企業のDX化などが進む中、今までの古いシステムを刷新したり業務フローそのものを新しくしたりするなど、アプリケーション開発のニーズは増えているようです。
システムエンジニアの中でアプリケーション開発に特化した仕事をする人を指す場合もあれば、システム開発におけるプログラミング等の下流工程を担うエンジニアを指す場合もあります。
3.フロントエンジニア
フロントエンジニアの仕事内容は、デザイナーがデザインした画面を構築したり、ユーザー側で動く仕組みを構築したりすること。
皆さんが普段目にするWebサイトやWebアプリのシステムは、デザインの画像のみが貼り付けてあるわけではなく動きがありますよね。その細かな動きを作ったり、デザイナーの作成したデザインをWebサイトとして表示させたりするのが、フロントエンジニアの仕事です。単にHTMLやCSSを使ってコーディングするだけではなく、多様な表現のためにJavaScriptを書いたり、動的な処理を行うためにPHPを使ったりする場合もあります。
CMSという簡単にWebサイトを構築できる仕組みを導入する場合もありますので、CMSの知識や知見が必要になるケースも多いでしょう。また、デザイナーとの密なやりとりも発生するため、コミュニケーション能力も大切です。
4.バックエンドエンジニア
ユーザー側からは見えない仕組みを構築する役割を担うバックエンドエンジニア。基本的には見えない部分を担当するので、デザイン性などよりもシステム的な動きをつくっていくことが大切になります。データベースとの連携もありますので、データベースについての専門的な知識や技術も必要となるでしょう。
また、サーバー構築をすることもありますし、サーバーサイドのプログラミング開発などに携わることもあります。プログラミング言語も多岐にわたり、Java(ジャバ)やC#(シーシャープ)などのさまざまなプログラミング言語を扱う技術も求められます。
5.サーバーエンジニア
サーバーエンジニアの仕事内容は、サーバーの設計や構築、運用を行うことです。ITインフラにおいて、ネットワーク関連やユーザーの使うコンピューターなどさまざまな機器がある中、サーバーを専門に扱います。
普段は当たり前のように稼働しているサーバーコンピューターですので、仕事内容のイメージはつきにくいかもしれません。しかし、24時間安定的にサービスを利用できているのは、サーバーエンジニアによる構築や保守があってのことです。そういった状況から、縁の下の力持ち的な一面もあるかもしれませんね。
近年はクラウドの知識もサーバーエンジニアに必要となってきており、幅広いケースに対応しなければならないこともあるでしょう。
5.データベースエンジニア
主に、データベースの開発や管理をすることが仕事内容であるデータベースエンジニア。主なデータベース製品としてOracle(オラクル)やマイクロソフトのSQL Serverなどや、無料で使えるものなどがあります。
Oracleなど有名なデータベース製品に詳しいエンジニアは、最適なデータベースを設計できることでしょう。ただし、オラクル社のORACLE MASTERという認定資格があるように、データベース製品を扱うのは簡単なことではありません。したがって、専門的な知識や知見を持っている人がデータベースエンジニアと呼ばれます。データを扱うことは、システム構築においてとても大切な部分となります。
6.セキュリティエンジニア
セキュリティエンジニアの仕事内容は、企業のセキュリティを守ることです。セキュリティ対策ソフトなどの専門的な知識を持ったエンジニアが、セキュリティ強化に関連した業務を行います。
例えば、有名企業の会員サイトが不正アクセスされて個人情報が流出した、というようなニュースを聞くことがありますよね。ハッキングや不正アクセスは、企業にとって致命的なリスクです。このようなリスクから企業のシステムを守るため、専門的な知識をもって対応するのがセキュリティエンジニアの仕事です。
7.クラウドエンジニア
クラウドエンジニアの主な仕事内容は、クラウド上でのシステムを構築することです。
現在、自社でサーバーを持たずにクラウド上でシステムを構築するケースが増えてきています。また、自社サーバーだとしてもクラウド型のシステムにする場合もあるでしょう。一般の人もクラウドサービスを利用する機会が多くなっていますし、企業もクラウドに移行しつつありますので、クラウドエンジニアの需要は今後も継続すると見込まれています。
また、Amazonが提供するAWS、Googleが提供するGoogleクラウド、マイクロソフトが提供するMicrosoft Azureなどのクラウド基盤があり、それぞれの専門的な知識があると各社のクラウド基盤を利用できると考えられます。
子どもの頃から学ぶためには?
ITエンジニアの分野を子供の頃から学ぶためには、ITについての興味や好奇心を育むことが大切です。まずは、子どもでも取り組みやすそうな簡単なプログラミングなどに触れて、「楽しい」「おもしろい」といった体験を積んでいくと良いでしょう。
また、ITエンジニアは単にパソコンやプログラミングに詳しいだけではなく、コミュニケーション能力や課題解決力が必要な職種です。子どもの頃に知識だけをつめこむのではなく、幅広くさまざまな経験をさせてあげることをおすすめします。
子どもの頃からできる学習方法
ITエンジニアになるために子どもの頃からできる学習方法としては、以下のようなことが挙げられます。
- システム開発の流れを疑似体験する
- 自分で考えて自発的に動くカリキュラムで習い事をする
- チームで課題を解決する経験をする
上記で挙げられたどの経験も、ITエンジニアになるためには役立つでしょう。あえて具体的に挙げるとすれば、実際にシステム構築する経験を積ませることが大切です。その結果、ただプログラミングに詳しいだけではプロジェクトを成功に導けないことを、子どものうちから身をもって実感できるでしょう。
またなんとなくプログラミングを習わせるよりも、発達段階に合わせて開発されたカリキュラムに沿って、プログラミングやシステム開発の流れを学んでいくことをおすすめします。
STREAM教育を通して将来の可能性を広げるには『Wonder Code』
子どもの可能性を広げる教育法に「STREAM教育」があります。STREAM教育とは、2000年代にアメリカで始まった21世紀型スキルを育む教育のことです。以下の頭文字をとってSTREAM教育と表現されています。
- Science…科学
- Technology…技術
- Robot / Reading…ロボット / 読解力
- Engineering…工学
- Art…表現力 / 創造力 / リテラシー
- Mathematics…数学
エンジニアにはさまざまな職種がありますが、子どものころは具体的な職種をめざすよりは、可能性を広げてあげることが大切です。
なお、ただプログラミングに詳しい、パソコンに詳しいというだけでは優秀なエンジニアにはなれません。広い視野を持ってプロジェクトを成功に導くためには、コミュニケーション能力や課題解決力も非常に重要になってきます。さらに、好奇心をもって楽しく学び続けるために、「好き」「楽しい」というポジティブな感情を基盤にする必要もあるでしょう。
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