子どもの感性を磨いて、豊かな心を養ってもらいたい…

昨今はAIテクノロジーの発達が著しく、未来を予測するのは難しくなっています。こうしたなか、課題を見つけたりアイデアを創出したりする力が求められており、その基盤になるのが感性といえるでしょう。

感性とは、例えば自然の変化の機微を感じ取りながら表現活動を行う力を指します。また、人の話を共感的に理解しスムーズにコミュニケーションをとるのも感性豊かな人の特徴です。

「傷つきやすい」といったデリケートな側面があるとはいえ、保護者が感性を育てる姿勢でいた方が子どもの可能性を伸ばしやすいでしょう。

今回の記事は感性を育てる大切さがわかる内容になっています。「子どもの感性とは?」の問いに対する答えや感性を磨く重要性、育成方法についてご紹介します。

感性の意味とは

感性とは、ある出来事や事象に対して深く感じ取った内容を自分らしく表現する力を指します。また、感性は人との関わりを円滑にしたり芸術的な才能を開花させたりする際に必要な力といえるでしょう。

感性と似た言葉に感受性があり、両者の違いは下記のように区別されます。

  • 感受性:感情を生み出す力
  • 感性:感情を具現化する力

「感受性」とは朝陽が水平線から昇るのを見て「きれいだなあ」と感じる様子を指します。「感性」とは「きれいだなあ」と思った気もちを絵画や詩に表現する様子を示すこととらえてみてください。

また、感性における重要な視点として「自分らしさ」が挙げられます。たとえば同じ朝陽を見ても“Aさんは太陽の色、Bさんは全景の美しさに感動する”など個人によって違いがみられます。

このように感性とは人によって異なる様相を見せるものを指し、ある意味「個性」を感じさせるのが感性だといえるでしょう。

豊かな感性を持つ子どもの6つの特徴

感性とは、心に深く刻まれる感動を自分らしく表現することを指します。

豊かな感性には研ぎ澄まされた五感が必要になるでしょう。その理由は、感受性が鋭ければ鋭いほど多様な情報を得られアウトプットにつなげやすいためです。

そのほか感性のある子どもは、固定観念に縛られず多面的な見方で物事をとらえたり、人とのやり取りをスムーズに行ったりします。ここでは、感性が豊かな子どもの特徴として6つ紹介します。

固定観念にとらわれない

固定観念とは型にはまった見方や考え方を指します。豊かな感性を持つ子どもは、固定観念にとらわれず自分の感じるままに行動できるのが特徴です。

感性が豊かであればあるほど、双方向あるいは多方面から見て解決しようとします。このため多様なアイデアを創出し、ほかの子どもとは異なる発想で芸術面でのセンスを見せることでしょう。

また、豊かな感性を持つ子どもは柔軟に物事を考えられるため、ありとあらゆる事象から学び取る力も優れています。

情報を五感で感じ取る

感性が豊かであると五感をフル稼働させて物事をとらえます。五感とは、視覚や聴覚、嗅覚、触覚、味覚の5つの感覚を指します。たとえば、次のような行動を示す子どもは感性豊かな子どもです。

  • 道端に咲くスミレを見て「小さいけれどきれいな紫だね」
  • 街に流れる音楽を聞いて「なんだかスキップしたくなるよ」
  • 親子で訪れた店舗に入って「オレンジの香りがいいねえ」
  • 洋服を触って「なんだかお母さんに抱っこされているみたい」
  • クリームソーダを飲んで「クリームがシュワッとする感じが好き!」

このように些細な出来事に対しても、感覚をとぎすませて子どもらしく表現する場面が見られれば、その子どもは感性豊かだといえるでしょう。

物事の背景や文脈を想像できる

「物事の背景や文脈を想像できる」とは、物事の見えない真実や秘密などを推測できる力を指します。

豊かな感性を持つ子どもは、物事から情報を得るのに五感をフル稼働する習慣がついているため、容易にイマジネーションを働かせられます。

小説を読んで登場人物の髪型や服装を想像したり、本の主題をあれこれ考えたりできるのも感性豊かな子どもの特徴です。実際に目にする情報以外の世界をイメージできるといえるでしょう。

人とは違うセンスを持っている

五感を研ぎ澄まし多様な見方で情報を得る子どもは、ほかの人とは違うセンスの持ち主です。この背景には、固定観念にとらわれない姿勢が関係しているでしょう。

感性があまり豊かでない人は物事を理解するのに「常識」から入ります。違う視点で物事を見るのが難しく、何か変化が欲しいときにアイデアを出せない傾向にあります。

つまり「感性が豊かな子ども」とは、自分の五感を通して物事をとらえるのに慣れている子どもを指し、ほかの人が思い浮かばないような発想をするといえるでしょう。

喜怒哀楽に忠実である

喜怒哀楽に忠実である点も感性豊かな人の特徴です。「喜怒哀楽に忠実」とは、思ったまま表現したり行動したりできることを指します。

たとえば、下記のように表現する子どもは感性が豊かであるといえるでしょう。

  • 試合に勝ったときに「やったー!」と笑顔で叫ぶ
  • 友達に嫌なことをされたときに「やめて!」と伝える
  • ドラマを見て感動したときに涙を流す
  • 大好きなブランコを満面の笑みで揺らす

このように豊かな感性を持つ子どもとは、日常生活の何気ない瞬間でも感情を素直に表現する子どもを指すといえます。

優しいコミュニケーションができる

感性が豊かな子どもは、相手にとって優しいコミュニケーションができます。優しいコミュニケーションとは、相手を理解するやり取りを示します。

相手の話す言葉だけでなく表情や声のトーンから話す人の心を敏感に感じ取るのが、豊かな感性の持ち主です。つまり、感性が豊かであれば、相手の言葉の背景にある本音を読み取りながら会話する力に優れているといえるでしょう。

感性から生まれる優しいコミュニケーションによって、周囲に友達が集まり人間関係を良好に保てます。

感性は人それぞれ。まずは子どもの「らしさ」を尊重して

感性は人それぞれです。感性を育てるためには、まずは“その子らしさ”に目を向けなければなりません。

紹介した「豊かな感性を持つ子ども」の特徴をある種の固定観念として受け止めれば、子どもの「らしさ」に気づけない可能性があるでしょう。「らしさ」を大切にするとは、ほかの子どもと比べずに子どものありのままを認めることを指すのです。

子どもの五感やセンスは誰ひとりとして同じではなく「感性=個性」だといえるでしょう。感性を磨くには「違うのが良い」と考え、「らしさ」を尊重する姿勢が大切です。

保護者はほかの子どもとは違う言葉や発想、行動などを認めることから始めます。子どもを全面的に認めてこそ、感性が育つととらえましょう。