昭和や平成初期の時代は、メディアといえばテレビや新聞などが主に挙げられていました。しかしデジタル技術が発達する中でインターネットが大衆化し、今やテレビと双璧をなすような影響力を持っています。

そこで求められるのが、あらゆるメディアの情報を精査する力である「メディアリテラシー」です。今回は、メディアリテラシーの意味や身につけ方などをご紹介します。子供のメディアリテラシーを養い、自分の身を自分で守れる力を育んでいきましょう。

メディアリテラシーの意味とは

メディアリテラシーとは、メディアから発せられる情報を多角的に解釈・考察し、批判的に読み解いて理解する力です。メディアリテラシーにおけるメディアとは「大衆に情報を伝えるための媒体・手段」であり、テレビ・ラジオ・雑誌・新聞などが挙げられます。

昨今ではインターネットを介したオンラインメディアが普及しており、ネットニュースやオンライン新聞なども含まれます。メディアリテラシーでは情報を批判的に受け取ることが求められるため、発せられた情報の背景や文脈、真偽を自分自身で考える能力だともいえるでしょう。

情報リテラシー・ネットリテラシーとの違い

メディアリテラシーと類似する言葉に、情報リテラシーとネットリテラシーがあります。まず情報リテラシーとは、メディアリテラシーで読み取った情報を自分の目的に合うように使用する力です。

正しく情報を得るために必要な力がメディアリテラシー、メディアリテラシーで得た情報を正しく使うために必要な力が情報リテラシーといえます。情報リテラシーの中には、自身が得た情報が本当に正しいのかを精査する力や、情報を正しく作成・発信する力も含まれます。

ネットリテラシーとは、メディアの中でも特にインターネットから発せられる情報を正しく理解・判断・運用する力です。SNSやブログなど、個人から発せられた情報も対象になります。また、インターネットにおけるセキュリティ意識の高さやプライバシーを保護するためのスキルも、ネットリテラシーに含まれます。

子供のメディアリテラシーを育てる5つの理由

情報化社会では、情報やデータを正しく見抜くメディアリテラシーが必要です。ここでは、子供のメディアリテラシーを育てる理由を5つご紹介します。

  1. 世の中には真偽不明の情報があふれているため
  2. 情報弱者として搾取されないため
  3. 自分が知らぬ間に加害者にならないため
  4. 情報に振り回されず、自分の考え方をしっかりと持つため
  5. 物事の本質を見極め、後悔のない人生を歩むため

メディアリテラシーは、これからの時代で生き抜くために必須の力といっても過言ではありません。

世の中には真偽不明の情報があふれているため

子供のメディアリテラシーを育てる理由は、世の中には真偽不明の情報があふれているためです。当然ながら、メディアで発表・発信されている情報がすべて真実だとは限りません。事実を報道しているように見えて、事象の一部分のみを切り取っているだけである可能性もあります。

メディアには、メディアを作る側の人間や組織が存在しています。彼らの情報の切り取り方や歪曲の仕方次第では、真実と異なるような情報がいくらでも発信されてしまうでしょう。物事を正しく理解するためには、表面的な情報だけではなく、真実はどこに存在しているのかを見抜く能力が必要です。

情報弱者として搾取されないため

情報弱者として搾取されないためには、メディアリテラシーを高めることが求められます。情報弱者とは、情報の詮索能力や知見が乏しい人を指します。情報弱者の性質を持っている人は、メディアから発せられる真偽不明の情報を鵜呑みにし、メディア製作者の思い通りに理解・行動してしまうでしょう。

例えばまったく売れていない商品を「この商品が大人気で、今すぐ買わないと売り切れてしまいます」と報道しているメディアがあった場合、情報弱者は偽の情報に踊らされ、購買意欲を掻き立てられてしまうものです。これは、メディアの策略にはまってしまっている状態といえます。

より自分らしく納得感のある人生を歩むためには、メディアに騙されずに真偽を精査して情報を読み解き、自分のものとしてかみ砕く力が必要なのです。

自分が知らぬ間に加害者にならないため

メディアリテラシーを持っていない人は、自分が知らぬ間に加害者になってしまう可能性があります。例えば偽の情報を信じ込み周りに吹聴してしまった場合、騙された側の被害者であるのにもかかわらず「デマを広めた加害者」にもなってしまいます。

自分自身に悪意はなくても、偽の情報を広めたことは事実です。影響力が小さなデマの場合は大きな問題はないかもしれませんが、犯罪や災害にかかわるデマを広めてしまった場合は、他者の命や生活を脅かしてしまう可能性があるでしょう。

ここで1つ例を挙げます。SNS上で、行方不明の奥さんを探している旦那さんの投稿があったとします。「奥さんを早く見つけられるといいな」と、良かれと思って情報を拡散することもあるでしょう。しかし実際は、旦那さん側はDV加害者であり、奥さんは旦那さんから逃げている最中かもしれません。

このように、真実を見抜くためにはメディアリテラシーが必要なのです。メディアリテラシーを持つことは自分だけではなく、他者を守ることにもつながります。

情報に振り回されず、自分の考え方をしっかりと持つため

現代は、まさに洪水のように情報が行き交う社会です。1つの事実からもさまざまな報道が生まれ、メディアの作り手次第で多種多様なニュアンスを経て報じられます。情報化社会の中で、自分の考え方をしっかりと持って生きていくためには、メディアリテラシーが必要です。

例えば「雑誌ではAだと書いてあったけれど、自分はBだと思う」や「芸能人の〇〇が△△を批判していたけれど、自分は△△に賛成だ」などのように、他者に影響されない自立した心を持つことで、自分らしい人生を歩み続けられるでしょう。

物事の本質を見極め、後悔のない人生を歩むため

メディアリテラシーを養って物事の本質を見極めることは、後悔のない人生につながります。メディアに振り回されながら生きている人は、いつまでも自分らしさを獲得できません。その結果、意思決定を他者に委ねるような考え方を抱いてしまいがちです。

選択や挑戦がミスや失敗につながっても、自分という判断基準で選んだ結果であれば、反省はあれど後悔はないものです。しかしメディアを含める他者の判断基準で物事を考えていた場合、納得できない結果を迎えた後には大きな後悔が残ってしまうでしょう。

家庭で子供のメディアリテラシーを養う方法

ここでは、家庭で子供のメディアリテラシーを養う方法をご紹介します。

  • 国語力・読解力を鍛える
  • 「自分はどう思うか」を意識してもらう
  • 誰が言っていたかよりも、何を言っていたかに注目してもらう
  • 自分とは違う意見を否定せず、背景を考える
  • プレゼン能力を鍛える

現代に生きる子供は、物心が付いたころから日々さまざまなメディアに触れています。正しく情報を読み解く能力を養い、自分という軸を持てる子供を育てていきましょう。

国語力・読解力を鍛える

家庭で子供のメディアリテラシーを養うためには、国語力や読解力を鍛えることが大切です。文章が記す内容を正しく読み解く力は、メディアリテラシーに直結します。

読解力が低い子供は文章を間違って捉えやすく、事実とは異なる情報を真実だと思い込んでしまうことがあります。読書や家族とのコミュニケーションを通しながら、言葉を正しく認識する能力を育てていきましょう。

「自分はどう思うか」を意識してもらう

メディアリテラシーの教育で重要なポイントは、あふれるほどの情報の中で「自分はどう思うか」を意識することです。特に子供は好きな芸能人やキャラクターの言動に価値観を左右されやすい傾向にあるため、他者と自分を切り離して考える習慣をつけましょう。

親子のコミュニケーションの中でも「〇〇(子供)はどう思う?」「〇〇はどうしたい?」などのように、子供の本音を引き出す問いかけを心がけることが大切です。

誰が言っていたかよりも、何を言っていたかに注目してもらう

子供や大人にかかわらず、人は自分が信用しているメディアや人物の情報を鵜呑みにしがちな傾向にあります。しかし重要なのは「誰が言っていたか」ではなく「何を言っていたか」です。

尊敬する人物や応援している芸能人の言葉であっても、すぐに受け入れずに一旦自分の中でかみ砕く習慣をつけましょう。ただし子供が好きな人物を闇雲に否定しないように、言葉の意味を深堀りするような話題の広げ方を心がけてください。

自分とは違う意見を否定せず、背景を考える

子供はまだ人生経験が少なく、一次体験や身近な人の意見を中心として価値観を築きがちです。自分と意見が違う人との接し方もまだ未熟であるため、価値観の外側にある意見に触れるとつい拒否反応を示してしまうことがあります。

しかし自分とは違う意見に出会えたときこそ、子供の成長のチャンスです。否定するのではなく「なぜ相手はそのように考えたのだろう」と考える習慣をつけていきましょう。「自分の考えだけが正義・真実ではない」と子供が認識することが、メディアリテラシーの育成につながります。

プレゼン能力を鍛える

子供のメディアリテラシーを養うためには、プレゼン能力を鍛える方法がおすすめです。プレゼンでは自分の意見をしっかりと説明できるスキルが求められるため、自身の価値観や判断基準の中から曖昧さが排除されていきます。

つまりプレゼンの精度や練度が上がるほど、自分らしさをより色濃く獲得していくことが可能なのです。周りに流されないアイデンティティを得ることは、メディアに振り回されない心の強さにつながります。

子供のデジタルリテラシーを育てるなら『Wonder Code』

今回は、メディアリテラシーの意味や習得する目的、子供のメディアリテラシーの育て方などをご紹介しました。あらゆる情報がデータ化される今の時代では、情報を正しく読み解く力は社会人の必須能力だといえるでしょう。

子供の頃からメディアリテラシーを養うことで、将来の可能性をさらに広げられます。さらにITやAIなどのデジタルテクノロジーにかかわるリテラシーを育てれば、職業選択の可能性も広がっていくでしょう。

『Wonder Code』は、プログラミングスキルを通して楽しくデジタルリテラシーを育てられる習い事です。ぜひこの機会に、無料体験教室や資料請求などから始めてみてはいかがでしょうか。