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教育で注目されている「非認知能力」とは?
今、育児や教育において注目されている「非認知能力」をご存知でしょうか。非認知能力とは、テストの点数や課題などで測れない能力を指します。人間はさまざまな能力を持っていますが、能力自体は目に見えるものではありません。テストや試験などをクリアすることで、点数や成果として能力の高さを可視化させています。
しかし中には、点数をつけることが難しい能力も存在します。これが非認知能力です。反対に、点数や成績などで可視化できる能力を認知能力といいます。認知能力も非認知能力も社会で生きるために重要なスキルですが、中でも非認知能力は人生の幸福度を上げたり、キャリアアップに役立ったりする能力とされているのです。
今回は子どもの非認知能力を引き出すポイントや、非認知能力を鍛えるための遊びをご紹介します。私たちは皆、隠れた非認知能力を持っていますが、その力を引き出すためにはきっかけが必要です。遊びの中で楽しみながら子どもの可能性を引き出していきましょう。
非認知能力の具体的な例
ここでは、非認知能力の具体例をご紹介します。非認知能力は、子どもとの関わり合いの中で引き出すことが可能です。どのような潜在能力が秘められているのかを知るためにも、非認知能力を細分化し子どもの個性と照らし合わせてみましょう。
物事へのモチベーションの高さ
非認知能力の一つに、物事へのモチベーションの高さがあります。いわゆる「やる気」といえるものです。やる気はテストや課題などで測ることはできませんよね。やる気だけでは結果を残せませんが、モチベーションが低い状態ではどのような取り組みもストレスがたまります。
やる気は人生における能動性・主体性を引き出す要素であり、幸福感のある毎日のために必要な非認知能力です。興味のある分野だけではなく、未知の分野や苦手な分野にもモチベーションを高く持って臨むことで、経験が広がり知見が増えていくでしょう。
コミュニケーション能力
コミュニケーション能力も、数値で測れない非認知能力です。コミュニケーション能力はただ人と仲よく話すためだけのスキルではありません。相手を思いやり、TPOによって接し方を変え、ときには距離をとって人間関係を円滑にする能力です。
コミュニケーション能力には想像力が必要であり、想像力も非認知能力の一つです。「これを言ったら相手はどう感じるだろう」「今相手は何を求めているのだろう」と想像する力があるからこそ、良好な関係性が育まれます。
倫理観・道徳心
倫理観や道徳心は、自分にしかわからない非認知能力です。人は誰しも多面的な自分を持っています。人に親切にできるときもあれば、心に余裕がないといじわるしてしまったり、ネガティブな感情を抱いてしまったりすることもあるでしょう。
しかし倫理観や道徳心を持っていれば、悪いことをした後にでも反省や改善ができます。人にまったく迷惑をかけずに生きられる人はいません。だからこそモラルや良識を持ち、次に活かすことを考える必要があります。
自己肯定感
自己肯定感とは、自分の存在を認める感覚を指します。ありのままの自分を受け入れることで現状をポジティブに認識できると、行動力やコミュニケーション能力、社交性などに好影響を及ぼすでしょう。また自己肯定感は「自分ならできる」と思える自信につながり、長期的に地道な努力を重ねるために必要な忍耐力も養われます。
非認知能力が高い子どもの特徴
ここでは、非認知能力が高い子どもの特徴をご紹介します。非認知能力が高いと、子どもの頃から周りと関わり合う方法が違うとわかるでしょう。非認知能力は、言い方を変えれば「世渡り力」でもあります。周りと良好な関係性を築けている子どもは、自己肯定感が上がり納得感のある毎日を過ごしやすくなるのです。
リーダーシップを発揮できる
非認知能力が高い子どもは、幼い頃からリーダーシップを発揮する傾向にあります。例えば学芸会や運動会などの学校行事では、クラスの中心人物となってプロジェクトを動かします。先生に伝えたい意見がある際には、代表としてクラスの言葉を代弁することも。
クラブ活動や部活でも、部長やリーダーなど責任ある立場になることが多い傾向にあります。自己肯定感が高いため堂々と自分の意見を伝えられたり、プレッシャーに負けない精神を持っていたりします。周りからは自然と頼られる存在になるでしょう。
学習効果が高くなる
非認知能力が高い子どもは、学習効果が高くなる傾向にあります。学習へのモチベーションが高く知的好奇心も強いため、授業で習ったことを深堀りしたり、自分で問題を作り出したりすることもあります。授業が終わった後に自ら先生に質問する子どもも珍しくありません。
同じ授業を受けていても、やる気がある子とない子では成績に違いが生まれるものです。大人でも「興味ある分野を学ぶのは楽しいけれど、興味ないものはなかなか頭に入らない」ということがありますよね。子どもの学習も同様で、幅広い分野に興味がある子は結果につながりやすくなります。
将来の可能性を広げられる
非認知能力が高い子どもは、将来の可能性を広げやすくなります。例えば就職活動では、落ちても諦めない精神力や、面接で自己アピールする際のプレゼン力などが求められるでしょう。会場のプレッシャーに負けないためには、自己肯定感も大切ですよね。
これらはすべて、テストでは測れない非認知能力です。プレゼン力の高さや大胆さは社会に出てからも有用で、昇進や昇給、キャリアアップのチャンスなどにも恵まれます。非認知能力の多くは、職種に限らず企業や社会で求められる能力なのです。
子どもの非認知能力を鍛える教育のコツ
ここでは、子どもの非認知能力を鍛えるコツをご紹介します。親ができることは、能力を引き出す環境や手段を用意することです。最終的には子どもの主体性を尊重する部分も大きいため、親の考え方ややり方を押し付けないよう注意しましょう。
意思決定を子どもに委ねる
子どもの非認知能力を鍛えるためには、意思決定を子どもに委ねる習慣が大切です。親がすべて決めるのではなく、子ども自身の頭で考え、思考や感情を表現する場を作ってあげましょう。「自分のことは自分で考える」習慣が日常的になることで、主体性や想像力などさまざまな能力が高まります。
子どもの好奇心や興味を尊重する
子どもの好奇心や興味を尊重することで、非認知能力が高められます。何事においても「楽しい」「うれしい」「おもしろい」などポジティブな感情は、学習の大きな原動力になるものです。
もし親が意図している分野とは違う物事に興味を持っていたとしても、まずは否定せずに子どもの様子を見守ってください。自分のやりたいことを自由にやれる環境が、子どもの知的好奇心や行動力を広げてくれます。学習の習慣が身につくことで、他の分野にも手を出しやすくなるでしょう。
努力を否定せず、小さな成功体験を褒める
子どもの非認知能力を鍛えるためには、子ども自身の努力を否定してはいけません。結果と同様に過程を重要視し、ありのままの子どもの姿を肯定的に受け入れましょう。
親に成功体験を認められた子どもは自己肯定感を持ちやすくなり、失敗を挫折と捉えずにさらなる挑戦への原動力に変えていきます。行動力が高まれば教養や知識を身につけるチャンスが増え、多様な価値観を受け入れる心の土壌が養われるでしょう。
【小学生向け】非認知能力を鍛える遊び7選!
ここでは小学生向けに、非認知能力を鍛える遊びを7つご紹介します。子どもの隠された能力を引き出すというと、少し難しい印象を受けるかもしれません。子どもが能力を発揮する環境を作るコツは、子ども自身が楽しんでいることです。
子どもの「楽しい」「もっとやりたい!」気持ちが、潜在的な能力を開花させます。子どもが楽しめる環境を作ることと、子どもが楽しいと思える遊びをすることが大切です。家庭でのコミュニケーションを通して、明るい気持ちで子どもをリードしていきましょう。
砂遊び・水遊び
砂遊びや水遊びは、非認知能力を高める効果が期待できる遊びです。創作行為が中心となるクリエイティブな遊びは、子どもの想像力や創造力を引き出します。例えば砂遊びでは、素材の多さや質、空間の広さから「作れそうなもの」を事前に想像し、実際に着手していきます。
その過程で自分の実力と理想がズレていることにも気づくでしょう。そこから軌道修正してまた新しい目標を作り、問題解決に動き出します。砂遊びも水遊びも正解が用意されているものではないため、子どもの無限の想像力を引き出してくれるのです。
読み聞かせ・読書
数ある非認知能力の中でも、想像力や語彙力などを引き出すためには、読み聞かせや読書をおすすめします。登場人物の心の動きを考察することでコミュニケーション能力が磨かれ、社交性につながります。
本は子どもに豊かな感性を与えてくれますが、本自体はテキストのみで描かれた世界です。活字という限られた情報の中で子どもが自由に想像し、情景を描いていくことで頭の柔軟性を高めていきます。親が読み聞かせをする場合は、子どもがストーリーの内容にちゃんと付いてきてくれているかを確認しながら進めていきましょう。
工作・お絵描き
工作やお絵描きは、子どもの集中力や創造力を高められる遊びです。しかし感情や思考のアウトプットが苦手な子どもは、「自由に作って・描いていいよ」と言われると困惑してしまうかもしれません。子どもがスムーズに取り組めていない場合は、親がテーマを与えてあげましょう。
例えば「自分が住みたいと思うお家を描いてみて」や「お姫様が住んでいそうなお城を作ってみて」などのように、想像力のスイッチが入りやすい声掛けがポイントです。子どもが集中し始めたらなるべく声はかけず、自分の世界を表現する作業に没頭させてあげましょう。
ごっこ遊び
鬼ごっこやおままごとのような「ごっこ遊び」は、子どもの想像力やコミュニケーション能力を養ってくれます。ごっこ遊びでは役割を与えられることで自分がどのように振る舞えばいいか考えます。これは家庭や学校ではなかなか与えられない機会です。
自分ではない何者かになることで、普段の自分とは違う立ち位置から物事を観測します。感受性が高い子どもにとって、ごっこ遊びは手軽に非日常に入れる絶好のチャンスなのです。いつもの自分ではなく、違う人物として問題を解決したり演技したりすることで、多様な視点を身につけられます。
連想ゲーム
連想ゲームでは、子どもの個性を伸ばしながら語彙力・創造力を広げていきます。知識と記憶をつなぐ訓練にもなり、発想力が鍛えられるでしょう。さらに回答をイラストでつなげていくことで表現力を伸ばす訓練にもなります。
例えば「黄色から連想されるものは?」「可愛いといえば何?」など、答えがいくつもあるテーマを提示しましょう。回答に個数を設けることで、忍耐力アップも期待できます。非認知能力を伸ばすだけではなく、子どもの新しい一面を知るためのコミュニケーションにもなるでしょう。
水平思考ゲーム
水平思考ゲームは、子どもの想像力・独創性・問題解決能力・論理的思考力・発想力など、さまざまな非認知能力を鍛えてくれます。やり方は簡単で、まずは親がクイズを出します。子どもは親に「はい」か「いいえ」のみで答えられる質問をして、解答に近づいていくゲームです。
例えば「お母さんは、家の前で転んだらお金持ちになりました。なぜでしょう?」のような、質問を何度か繰り返さなければ回答にたどり着けないクイズがおすすめです。子どもは受け答えの中で質問を考えながら、既成概念に捉われない発想を生み出せます。
カタカナ禁止ゲーム
カタカナ禁止ゲームでは「アイデア」や「ゲーム」のようにカタカナの言葉を使わないで会話します。ただカタカナを使わなければいいというわけではなく、カタカナ言葉を別の言葉で表現する過程で発想力や語彙力が鍛えられるでしょう。
例えば「ゲーム」を他の言葉で伝えようとしても、コードやテレビなどの別のカタカナ言葉が出てきがちです。言葉の引き出しを開け閉めする過程で、相手に伝わるように話すことでコミュニケーション能力も磨かれます。
非認知能力を鍛える遊びを通して「見えない力」を引き出そう!
遊びの中で子どもの非認知能力を鍛えるためには、学習の意識を強く持たせないことが大切です。ゲーム性を尊重しながら、子どものストレスがたまらないような遊びを繰り返しましょう。
ただ遊ぶだけではなく、子どもの得意不得意を見極めることもポイントです。苦手な遊びでイライラしているようなら、アプローチを変えたり得意な遊びに変えてみたりしてみましょう。
子どもは「親に無理やりやらされている」「学校や塾以外でも勉強させられている」と感じるとモチベーションが急降下しがちです。あくまで子どもが主体性を持てる環境・方法を心がけてくださいね。
これからの時代、子どものうちに身につけておきたいスキル
非認知能力は、これからの時代に求められる「21世紀スキル」とも密接な関係があります。21世紀スキルとは、情報化・グローバル化が進む現代において、社会の第一線で活躍する人材に求められる能力の総称です。
膨大な情報が取り巻く現代では、明確な正解のない課題が多く存在しています。例えば「SNSで最もクリックされる広告は何?」や「30歳の女性に一番売れるコスメは何?」という課題には、誰も明確な回答ができません。
仮説と検証を何度も重ねながら、限りなく正解に近いものを選んでいく作業が必要です。結果的に絞り出したベストな成果も、時代やトレンドとともにすぐに風化するため、また次の課題のために検証が必要になります。
この「正解のない課題」に取り組み続けるために必要な能力が、21世紀スキルです。ただ問題を解くだけの能力やマニュアルに沿って動く能力だけではなく、自ら需要を作り出したり既存以外の方法でニーズに応えたりする能力が求められているのです。
21世紀スキルに欠かせない非認知能力とは?
ここでは、これからの時代を生き抜く21世紀スキルに欠かせない非認知能力をご紹介します。21世紀スキルを取得するためには、ITスキルやWebスキルだけではなく、直感やセンスも必要です。ひらめきや発想力の土台となる基礎的な非認知能力を磨くことで、時代をリードできる人材に育つでしょう。
論理的思考力
21世紀スキルに必要な非認知能力の一つは、論理的思考力です。論理的思考力とは、物事の論点を網羅的に整理整頓して考える力を指します。よりわかりやすくいえば、筋道立てて物事を考える力です。そのため論理的思考力が高い人は、課題を乗り越えるための問題解決能力も高い傾向にあります。
物事の因果関係を整理して考えられるため、複雑に絡み合う問題を解決に導けます。論理的思考力はあらゆる職業に求められ、人間関係においてもトラブルを回避するために必要です。客観的に考える力が養われるため、感情に支配されてしまう可能性も減少します。
創造力
創造力は、何もない場所から新しいものを生み出す力です。創造力が高ければ、もともとある商品を改善するのではなく、需要に応えるためのまったく新しいアイデアを提案できます。トレンドや情報が目まぐるしく行き交う現代において、今の需要に見合う解決法を短期間で生み出せる創造力は、非常に重要なスキルです。
創造力も、テストや課題で点数をつけられない非認知能力の一つ。例えば「雨が降るとぬれてしまう」という悩みに対し、屋根の下で雨がやむのを待つことを説くのではなく、傘やレインコートという商品を生み出せるのが創造力です。
課題発見力
自ら課題を探して発見し、乗り越えるために努力する能力も、これからの時代に求められます。情報が多様化している現代では、一つのトレンドがすぐに終わってしまいがちです。また新しい技術が次々と生み出されるにつれて、消費者のニーズの形も日々更新されていきます。
一定の成果を上げただけで満足せずに、改善点を洗い出して変化していく柔軟性も非認知能力です。日々情報や技術が更新される中で、本当の失敗とは「変化を恐れて現状維持してしまうこと」。課題発見力が高い個人や企業ほど、息長く活躍できるでしょう。
非認知能力の学習でプログラミングが注目される理由
子どもの非認知能力を磨くことは、これからの時代に求められる人材になることにつながります。そして今、非認知能力の教育において注目を浴びているのがプログラミングです。2020年に小学校でプログラミング教育が必修化されたことも記憶に新しいですよね。
プログラミングは、21世紀スキルの一つとして求められるITリテラシーやWeb知識を身につける手段です。しかしそれだけではなく、論理的思考力・問題解決能力・創造力・想像力・コミュニケーション能力など、幅広い非認知能力を鍛えられます。
小学校のプログラミング教育では実際にプログラミングを習うケースは少なく、論理的思考力の一種である「プログラミング的思考」を育む授業を行っています。そのため、実際に手を動かしながらプログラミングを学ぶためには、学校外で習い事を選択する傾向にあるのです。
21世紀スキルを育むなら『Wonder Code』
今回は非認知能力の意味や特徴、子どもの非認知能力を養う遊びなどをご紹介しました。子どもが学習に積極的になるためには、好奇心を尊重することが大切です。子どもの特性に合わせて、ワクワクしながら学べる方法を探してみましょう。
現在「非認知能力や21世紀スキルのためにプログラミングを習わせたい」と思っている保護者が増加傾向にあります。そこでおすすめしたいのが、プログラミングと英会話という重要な21世紀スキルを学べる「Wonder Code」です。
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