語彙力は、あらゆる仕事や生活のシーンで役立つ能力です。子供の頃から語彙力を育てることで、大人になっても役立つスキルを会得できます。今回は、子供の語彙力を鍛えるメリットや、語彙力を鍛える際のポイントなどをご紹介します。子供が楽しめる方法で文章に触れさせ、コミュニケーション能力や表現力を育んであげましょう。

子供の語彙力を鍛えたい

保護者の中には「子供の語彙力を早い段階から鍛えたい」と思っている人も多いのではないでしょうか。子供が新しい言葉を覚える速さは、大人の比ではありません。

まるでスポンジに水を含ませるように、成長の過程でどんどん新しい言葉を習得していきます。「特別なことをしなくても、子供は勝手に言葉を覚えてくれるだろう」と思う人もいるかもしれませんが、子供の語彙力を鍛えるにはいくつかのコツがあるのです。

語彙力向上のためには、保護者がただ本を読み聞かせたり与えたりするだけではなく、子供自身が文章や言葉を能動的に覚えようとする環境が必要です。子供の高い習得能力を生かすために、保護者が学習環境を整えてあげましょう。

語彙力とは

「語彙力」とは、その人が持っている単語の知識と、知識を使いこなす能力を合わせた力です。つまり、言葉を知っているだけでは語彙力とは呼べません。知識を活用するための力は、記憶力や暗記力などとは別の力です。

どれだけ単語を知っていても、正しい場面で使いこなさなくては意味がありません。例えば「可愛い」という一つの単語の中にも「愛おしい・可愛らしい・母性をくすぐる・可憐・幼い・守ってあげたい」などのさまざまな感情がありますよね。

然るべき場面で然るべき言葉を選択し、正しく使える力こそが語彙力です。そしてもちろん、語彙力を高めるためには基本となる言葉の知識量も大切になります。知識と活用能力を同時に高めていくことで、必然的に語彙力が上がっていくことでしょう。

将来に役立つ!語彙力を高めるメリット

ここからは、子どもの頃から語彙力を高めるメリットについてご紹介します。語彙力を高めるのは大人になってからでも可能ですが、学習能力が高い子供のうちから語彙力を高めることで、よりスピード感のある学びが可能になります。保護者自身がメリットを理解し、子供の語彙力を育てる環境を整えましょう。

コミュニケーション能力が上がる

子供の頃から語彙力を鍛えると、コミュニケーションスキルが高まり家族や友達との会話がスムーズになります。

語彙力が高い子供は、自分の気持ちを適切な言葉で表現できます。相手に誤解を与えず友達との擦れ違いも減るため、対人トラブルを防止できるでしょう。

また、人間関係における成功体験が増えるとコミュニケーションへの不安が減少し、堂々とした振る舞いが身に付くことにもつながります。

話すことが楽しくなる

語彙力を鍛えると、話すことが楽しくなります。子供は大人と比べると言葉の数を知らないため、感情を上手に伝えられずに、悲しくなったり自分や状況に憤ってしまったりすることがあるもの。しかし、語彙力を鍛える度にネガティブな感情を手放しやすくなるため、コミュニケーションに楽しさを見出せるようになります。

大人でも、外国語を覚えて外国人と意思疎通ができるようになると、話すことが楽しくなりますよね。子供にとって日本語の語彙を増やすこともそれと同様であり、他者と意思疎通が取れることでコミュニケーションに喜びを感じられるようになります。

文章や会話から感情を読み取る力がつく

子供の頃から語彙力を鍛えることで、文章や会話から感情を読み取る力が身に付くでしょう。

例えば、恋愛小説で好きな人から告白されたキャラクターが、長年の恋心が報われた嬉しさから涙を流したシーンがあるとします。このとき語彙力がある子供の場合は「恋心」や「報われる」、「嬉し涙」という言葉を知っているため、嬉しくて涙を流すキャラクターの感情を想像し、理解できる可能性が高まるでしょう。

しかし語彙力がない子供の目には、泣いているキャラクターが「好きな人に告白されて嬉しいはずなのに、なぜか泣いている人物」に映ります。本来喜ぶシーンなのに泣いているキャラクターを見て混乱してしまい、創作物が与えたかった感動を学べないのです。

自分の思いを伝えやすくなる

語彙力を鍛えることで、子供が自分の思いを伝えやすくなります。例えば「お腹が空いたのに、夕ご飯の前だからおやつを食べさせてもらえなくてイライラする」という感情を持った子供がいたとします。

語彙力が高ければ、「夕ご飯もちゃんと食べるから、少しだけおやつが欲しい」と保護者に交渉できるでしょう。「おやつが欲しいのに食べられないから悲しい」と素直に気持ちを表現することも可能です。結果的におやつはもらえなかったとしても、正しく自分の気持ちを伝えられたという一種の満足感も得られます。

しかし語彙力がないと気持ちを伝えられず、イライラや悲しみの感情に支配されるしかありません。感情を表現する言葉がないため「やだ!」という言葉でしか気持ちを伝えられないこともあるでしょう。子供の語彙力を鍛えることは、親子のコミュニケーションを正確にするための手段でもあるのです。

表現力が豊かになり、学力向上につながる

子供の語彙力を鍛えることで表現力が豊かになり、学力向上につながることが期待できます。知っている言葉の数や表現方法が増えれば、先生の話している内容も理解しやすくなり、質問の幅も広がるでしょう。

語彙力不足により自分の気持ちを表現できないと、思考の幅が狭くなってしまいがちです。例えば算数で公式を覚えることはできても、公式を応用する発想が持てずに行き詰まってしまうことも。語彙力が高まることで、さまざまな可能性を考慮できる子供に育ちます。

子供の語彙力を鍛える方法・ポイント

ここからは、子供の語彙力を鍛えるために取り入れたい方法やポイントなどについてご紹介します。子供は、学校での授業や友達とのコミュニケーションで自然に言葉を覚えてきます。だからこそ、保護者が環境を整えてあげることで語彙力がさらに伸びるのです。

最近の言葉・表現を使わない

子供の語彙力を鍛えるためには、最近の言葉や表現を使わないことを心がけましょう。例えば「やばい」や「エモい」などは、嬉しい・悲しい・苛立つ・寂しい・感動したなどのさまざまな感情を、一つの言葉に凝縮した表現です。

時代によって生まれた流行の言葉自体を否定する必要はありませんが、もし子供が「やばい」や「エモい」という言葉を使った場合は「それって、もっと細かくいうとどんな感情?」と聞き返す習慣をつけましょう。子供自身が感情の深掘りを放棄しないように、親がフォローしてあげることが大切です。

わからない言葉を調べさせる習慣をつける

子供の語彙力を鍛えるためには、わからない言葉をすぐに調べさせる習慣をつけることをおすすめします。わからない言葉をわからないままにしていては、語彙力が伸びるのが遅れてしまいます。また、自分の力で辞書を使って調べた言葉は、自然に覚えた言葉よりも忘れづらくなるものです。

スマホを使っても構わないので、子供にわからない言葉をメモするよう声をかけてみましょう。「お母さん(お父さん)、〇〇ってどういう意味?」と聞かれたら、すぐに教えるのではなく一緒に調べると覚えやすくなります。

語彙力がアップするアプリで勉強する時間を作る

子供の語彙力を鍛えるためには、子供自身が楽しんで覚えられる方法がおすすめです。特にゲーム感覚で語彙力アップを図れるアプリは、子供が能動的に学習してくれるため高い効果が期待できます。

おすすめは、四択の選択肢から選ぶゲームや、しりとり形式で言葉を入力しオンラインで対戦するアプリなどです。しりとり形式のゲームは、相手が自分の知らない言葉を返してくれる点が大きな魅力です。また、対戦後に自分が使った言葉を見返せる機能もあり、頻繁に使いがちな言葉なども確認できます。

読書する習慣をつける

短時間で多くの語彙力を身に付けられる方法として挙げられるのが、読書です。児童向け小説やライトノベルなどで構いませんので、単語や文章に触れる習慣を取り入れていきましょう。

しかし、子供に一方的に「本を読みなさい」と言ってもなかなか聞き入れてくれないものです。強制的に本を読ませても学びになりづらく、新しい語彙もなかなか増えません。そこでおすすめなのが、親子で読書する時間を設けることです。保護者も一緒に本を読むことでコミュニケーションのきっかけにもなり、子供の成長に気づきやすくなります。一日5分からでもいいので、親子の読書習慣を始めてみましょう。

文系・理系関係なく、語彙力は全ての学問に役立つ!

子供の語彙力を鍛えるにあたって、どこにメリットを感じるかは保護者によって違うでしょう。もちろん、国語の成績を伸ばしたりコミュニケーション能力を伸ばしたりできるなども明確なメリットです。しかし語彙力は、文系・理系関係なく、全ての学問に役立ちます。

例えば算数や理科などの理系学問でも、問題文は文章で書かれています。教科書も参考書も、一定の語彙力がなければ読み解けません。大人でも、難解な小説や専門書を読んでいると「文章自体は日本語だから読めるのに、内容が頭に入ってこない……」ということがあるでしょう。子供用の本や教科書を読む場合もこれと同じで、文章の全体的な難易度が大人よりも下がるだけで、同様の問題が発生するのです。

語彙力を高めることは、日本語力を高めることでもあります。文章を認識する力が高まれば高まるほど日本語を正しく理解できるようになり、あらゆる学問に役立つことを実感できるでしょう。そして語彙力を鍛えると、大人になったときにもさまざまなメリットを感じられるものです。事務作業や確定申告、引っ越しの手続き、就職活動・転職活動、履歴書作りなど、あらゆるシーンで語彙力の高さは役立ちます。

また、語彙力が役立つ職業は、決してライティングや編集などの執筆関連業だけではありません。どのような職業や仕事にもマニュアルやレギュレーションが存在しているため、正しい仕事のやり方を理解するために必須の力となるのです。その他にも雇用契約書や発注書、請求書、ビジネスメール、仕様書など、仕事において文章と触れ合う機会は多いものです。実際に資料に触れる機会がない場合でも、口頭で説明された仕事を理解する上で語彙力は求められます。

子供の時代に培った語彙力は、大人になっても自分を助けてくれます。社会をより快適に自分らしく生きるためにも、語彙力は高めておいて決して損にはならない能力なのです。

さらに、母国語である日本語で語彙力を高め、コミュニケーションや文章理解における成功体験を得ることで、外国語を学ぶことへの抵抗も薄まると考えられます。これからの時代はグローバルで活躍できる人材が求められるため、英語や中国語などの外国語学習に抵抗がないことは、将来的に大きなアドバンテージとなることでしょう。

子供の語彙力を増やすには、家族の会話を増やそう

今回は、子供の語彙力を鍛えるメリットや、語彙力を鍛えるためのコツについてご紹介しました。子供の語彙力を増やすためにはさまざまな本や文章と触れさせることが大切です。しかし、それと同時に、家族の会話が重要なことも覚えておかなければなりません。

子供にとって最も近い語彙力の先生は保護者です。家庭での会話が増えると子供のコミュニケーション能力が高まり、最初は知らない言葉が多くても、自分の気持ちを表現するために知っている言葉を一生懸命並べて伝えようとします。生活の中で言葉と言葉を組み合わせて自分を表現すること自体が、語彙力を鍛えるための訓練になるのです。

友達との会話と家族との会話は、似て非なるものです。友達だからこそ話せる会話があるように、家庭でしかできない会話や、お父さん・お母さんだからこそ話せる話もあるでしょう。子供の語彙のバリエーションを豊かにするためにも、家族の会話を増やし、絆を深めていきましょう。

また、語彙力を鍛えるにあたって取り入れたいのが、プログラミングなどの習い事です。語彙力を鍛えるためには、言葉と言葉を正しく引き出すために論理的思考力や想像力などが必要になります。プログラミングは、それら両方の力を引き出すのに適した習い事として注目を集めています。

「Wonder Core」ではプログラミングを通して語彙力を鍛えるだけではなく、英会話も楽しみながら習得することが可能です。日本語と英語の引き出しをそれぞれ増やすことで、さらなる語彙力アップを目指してみませんか?