現在の子どもたちは、生まれたときからパソコンやスマートフォンといったデジタルデバイスが身近にあり、さまざまな情報にすぐに触れられる環境にあります。そうした情報の中には間違ったものも混ざっているため取捨選択が必要ですが、子どもにとっては難しいでしょう。そこで大切なのが、情報リテラシーです。今回は、情報リテラシー教育の重要性と、家庭で行う際のポイントをご紹介しましょう。
【この記事の目次】
情報リテラシーとはどんな能力を指すのか
情報リテラシーという言葉を耳にすることは多いですが、その意味を詳しく説明できる方は実は少ないのではないでしょうか。
「リテラシー」という言葉には、本来「読み書きする力」という意味があります。日本ではもう少し幅広く、「使いこなせる力」といった意味合いで使われることが多いです。リテラシーがあることで、私たちは情報の内容を知ったり自分の考えを発信したりできます。
では「情報リテラシー」とは何を指すのでしょうか。
私たちは、多くのメディアからさまざまな情報を得ます。そういった情報を基準に、善悪の判断を行うこともあるでしょう。
実際に、マスコミの報道や、SNSの意見などに世論が動かされることは珍しくなく、こうした動静はメディアの影響力がいかに大きいかを表しています。
しかしそうした情報には発信者がおり、そこには発信者側の何らかの意図が隠されていることがあります。例えば何かを伝えるために別の要素が意図的に隠されていたり、わかりやすくするために一部分だけが強調されていたりなど、情報が操作されていることがあるのです。
情報を読み解く際はこういった側面を理解しておかないと、誤った情報に気がつかず、トラブルに巻き込まれてしまう可能性もあります。
誤った情報に騙されず、トラブルに巻き込まれることを防ぐためには、以下のような力をつけることが大切です。
・メディアの特性を理解する力
・情報に対し勝手な解釈をしたり、嘘の情報に惑わされたりせずに読み解く力
・伝えたいことを誤解されないようにうまく伝える力
こうした能力を総称して情報リテラシーといいます。
受け手側にも発信する側にも情報リテラシーが必要な理由
メディアの情報には、発信者と受け手が存在しますが、そのどちらにも情報リテラシーは必要です。それぞれについて、必要な理由を詳しく説明しましょう。
最初に受け手側に情報リテラシーが必要な理由を考えてみましょう。受け手側が意識しなければいけないことは、「メディアには必ず作り手や発信者がおり、この人たちが情報を取捨選択し、編集や加工をして発信している」という点です。
例えば本当は2時間のインタビューを3分にまとめたり、食べ物をおいしく見えるように加工したりすることは、当たり前に行われています。
こうした事実をふまえ、情報を受け取る際は常に、「この情報だけでは本当の姿はわからない」という意識を持つことが大切です。
また中には、悪意を持って嘘の情報を流す方もいます。こうした情報に振り回されないために、受け手側の情報リテラシーは必要なのです。
次に、発信者側に情報リテラシーが必要な理由を考えてみましょう。
今のようにパソコンやスマートフォンが普及していない時代には、影響力のあるメディアを作れるのは一握りの専門家だけでした。写真や動画の加工や編集は、現代ほど簡単にこなせるものではなく、高度なスキルや高価な機械が必要だったためです。
一方で、現在ではスマホ一つで簡単に写真や動画を編集・加工ができ、情報を発信することもできます。そしてそれらの情報に、世界中の人が簡単にアクセスできるようになりました。
誰でも簡単に情報の発信者になれるからこそ、誤解を招く情報や誰かを傷つけてしまうような情報を発信し、トラブルが起こることも増えています。こうしたトラブルを防ぐために、発信者側にも情報リテラシーが必要となります。
子どもの情報リテラシーの欠如が招く危険
では情報リテラシーが低いと、子どもにとって実際にどのようなリスクがあるのでしょうか。いくつかの例を挙げましょう。
・犯罪に巻き込まれる
情報リテラシーの乏しさが原因で、不用意に個人情報を発信してしまうことがあります。一度ネット上に出回った情報は、完全に消すことはできません。
SNSにアップした情報から名前や住所を特定され、誘拐やストーキングなどに発展したという事件も、実際に起こっています。
・不確かな情報に振り回される
情報リテラシーがないと、不確かな情報に振り回されてしまうことがあります。
例えば新型コロナが流行り始めた頃、実際には十分在庫があったにもかかわらず、「トイレットペーパーが無くなるかもしれない」といった嘘の情報が拡散されました。これによりトイレットペーパーの買い占めが起こり、本当に品薄状態となってしまったのです。
情報リテラシーが身についていれば、情報を鵜呑みにせずに考える癖がつき、振り回されることは少なくなるでしょう。
・犯罪の加害者となる
情報リテラシーが乏しいと発信してもよい情報とよくない情報がわからなくなることが少なくありません。例えば、SNS上で発信された誰かに対する誹謗中傷がよく見かけられますが、こうした行いは立派な犯罪行為であり、逮捕されることもあります。
情報を書き込むことは簡単にできますが、それが周囲にどういった影響を与えるのか、どんな気持ちにさせるのか、しっかりと考えてから発信することが大切です。
情報リテラシー教育を家庭で行う際のポイント
では、情報リテラシー教育を家庭で行う際、どのような内容を扱うとよいのでしょうか。いくつかポイントをご紹介します。
・デジタルデバイスの正しい使い方を伝える
まずは、デジタルデバイスの正しい使い方を伝えることが大切です。特に低学年のうちは、情報について深く理解することは難しいでしょう。
操作方法だけでなく、利用時間の約束事を決めたり、使ってよい場面とよくない場面を教えたりなど、細かなルールを設定して共有しましょう。ペアレンタルコントロール機能も上手に活用しましょう。
・情報の真偽はすぐに判断しないよう伝える
情報リテラシーというと、「情報の真偽を見抜く力」と思われる方が多いでしょう。しかし、生成AIの普及などで誤った情報を見抜くことが以前よりも難しくなっており、大人でも騙されてしまうことがあります。そこで大切なのが、一旦情報の判断を保留する力です。
SNS上の情報には、誰かに共有したくなる要素が組み込まれており、反射的に拡散してしまうこともあるでしょう。しかし判断を一旦保留して様子を見ることで、フェイクニュースの拡散に加担せずに済むかもしれません。
子どもには、情報の真偽を自分ですぐに判断しようとするのではなく、周囲の議論の様子を見ながらゆっくり判断するよう伝えましょう。
・わかりやすい例えや具体例を挙げながら説明する
子どもは、大人よりもネットの情報に惑わされやすいです。わかりやすい例えや具体例を挙げながらリスクを説明すると、より危険性が伝わりやすくなります。
例えば男性が女性と偽り、SNSに投稿することがあります。悪意がないものもありますが、中にはトラブルに発展した例もあります。実際にトラブルに発展した事例をわかりやすく伝えることで、ネット上の情報を鵜呑みにしてはならないと子どもは実感するでしょう。
また風景の写真を見せ、場所を当てさせるのも効果的です。「ここにお店の名前が写ってるから、場所がわかるね」「この信号に、住所が書いてあるね」など写真に写り込んだ情報から場所が特定できることがあることを伝えてみましょう。こうした問いかけをすることで、思わぬ形で情報が漏れてしまう可能性があることがわかります。
・発信してもよい情報とダメな情報の判断基準を伝える
情報を発信する際、発信してもよいものとダメなものを判断する必要があります。こうしたときに子どもにもわかりやすい基準として、「その情報を玄関の前に貼れるか貼れないか」ということが挙げられます。
ネットは不特定多数が目にする場、つまり人の目がたくさんある家の外と同じことです。しかもその情報の発信源は、特定することができます。つまり玄関のドアの前に、情報を貼り出すようなものなのです。これがイメージできると、不用意に情報を発信することはなくなるでしょう。
・保護者も一緒に学ぶ姿勢を見せる
情報リテラシーは、子どもだけではなく大人にも不可欠なスキルです。ただ子どもに教えるだけではなく、子どもと「一緒に学ぶ」という姿勢を見せることで、子どもも受け入れやすくなるかもしれません。
またネット上で発生した子どもをターゲットとする犯罪の最新情報を知っておくことで、その都度子どもに注意を促すことができます。そうしたときに、「騙された子が悪い」というニュアンスで伝えるのは禁物です。気をつけていても被害に遭う可能性があることを伝え、いざというときに子どもが気軽に相談できる空気を作っておきましょう。
早いうちに情報リテラシーを学ぶならWonder Code
情報リテラシーは、情報によるさまざまなトラブルから、子どもを守るために必要不可欠です。現代の子どもたちはインターネットが身近にあり、避けて通ることはできません。「まだ小さいから大丈夫」といった油断は禁物です。大人のいうことを素直に聞いてくれる小学校低学年のうちから、少しずつ、家庭でも情報リテラシー教育を進めることが大切です。
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