あらゆるコミュニケーションにおいて「伝える力」は大切です。子どもの伝える力を伸ばすためには、日々のコミュニケーションの中で親がサポートしてあげる必要があります。今回は、人に伝える力を伸ばす方法や、親が子どもの能力を伸ばすためにできるヒントをご紹介します。子どもの個性や性質を尊重しつつ、よりスムーズなコミュニケーションが取れるように手を差しのべていきましょう。
【この記事の目次】
人に伝える力を伸ばすには?
私たちは日々、他者とコミュニケーションをとって生活しています。学校や会社など大きなコミュニティ内ではもちろん、買い物やSNSなどでも最低限のコミュニケーション能力が必要です。テレワークが推進されている昨今では、チャットツールを利用したテキストコミュニケーションも重要視されています。
人に伝える力を伸ばすためには、自分自身が言葉や表現を知っていなくてはなりません。例えば「うれしい」という気持ちを伝えたいのに「うれしい」という言葉を知らない人は、自分の気持ちをどのように表現すればいいのかわからず、誤解を招くコミュニケーションをとってしまうかもしれません。
また「うれしい」だけを伝えても、うれしい理由やうれしさの程度が伝わりません。感情を言葉にして表現に肉付けし、正しく人に伝える力が求められます。人に伝える力の強さには性格や育った環境によって差がありますが、訓練によって高められていくものです。
伝える力に必要なものとは
気持ちや思考を正しく人に伝えるために必要な力は、語彙力と訓練です。基本的にさまざまな言葉に触れ、いろいろな人たちの表現方法を知ることが第一歩になります。他者のコミュニケーションから学び、自分の力にしていくステップが大切です。
そこでおすすめなのが、本や映画などの創作物に触れることです。またニュースの原稿は端的に視聴者に事実を伝えることを目的としているため参考になります。普段テレビを見ない人は、ネットニュースやデジタル新聞のテキストを読むことで人に伝える力を養えるでしょう。
また人に伝える力を身に付けるのに最も必要なことは、実際に相手とコミュニケーションをとることです。具体的な方法として、自分の中に言葉をインプットしたら、表現という形でアウトプットすること。会話を通して人に伝える力を磨いていきましょう。
子どもの会話力を高めたい!人に伝える力を伸ばす4つの方法
親としては、子どもの会話力を高めてコミュニケーションをスムーズに図れるようにしてあげたいものですよね。子どもとの日常会話に少しの工夫を施すことで、コミュニケーションを円滑にとることが可能です。
ここでは、人に伝える力を伸ばすために取り入れたい4つの方法を解説します。
まずは、子どもの話をしっかり聞く
子どもの人に伝える力を伸ばすためには、まず親が子どもの話をしっかり聞いてあげることが大切です。親が子どもの話を遮ってしまうと、子どもは自分の気持ちを最後まで伝えられず、思考が混乱してしまいます。結果、人に伝える力がなかなか養われません。
子どもが上手に言葉を言えなかったり途中で黙ってしまったりしても、ひとまず最後まで耳を傾けて聞くことを心がけてください。子どもには自分の話すペースがあり、黙っている間も「どう伝えればいいんだろう」と迷ったり考えたりしている可能性があります。急かさずに子どものペースを尊重してあげましょう。
子どもの話に興味を持ち、毎回しっかり反応する
子どもの話に興味を持ち、毎回しっかり反応してあげると、人に伝える力が身に付きます。というのも、子どもは自分の話を聞いてくれたり反応してもらえたりすると、うれしいからです。また、自分の話に興味を持ってくれると会話が楽しくなります。
子どもにとって最も理解・共感してもらいたいのは親です。他愛ない話でも前向きな姿勢で耳を傾け、毎回何かしら反応してあげましょう。時には子どもの会話に質問で返してあげると「興味を持ってもらえている」と感じられ、コミュニケーションがさらに楽しくなります。
子どもが言いたいことをくみ取って親が代弁してあげる
人に伝える力を磨くためにはアウトプットの習慣が大切ですが、子どもは語彙力や表現力が乏しい場合もあるでしょう。自分の気持ちや思考を上手に伝えられないときには、親が助け船を出してあげることも必要です。子どもが言いたいことをくみ取って代弁してあげましょう。
ただし決めつけはよくありません。「つまり〇〇だってこと?」のように、親が勝手に解釈するのではなく必ず子どもに気持ちや考えを確認することが大切です。また人に伝える力を養うためには、伝わったという実感が重要です。親が最初から子どもの言葉を代弁する必要はありませんが、子どもが伝えることを諦めてしまいそうなときにはサポートしてあげてくださいね。
5W1Hを意識して子どもに話しかける
子どもの人に伝える力を養うためには、最も身近な話し相手である親が正しいコミュニケーションをとる必要があります。子どもと話すときに心がけたいのが、コミュニケーションの基本となる5W1Hのテクニックです。
5W1Hとは、次のとおりです。
- When……いつ
- Where……どこで
- Who……誰が
- What……何を
- Why……なぜ
- How……どのように
子どもは親の話し方や言葉のニュアンスを真似るものです。幼稚園や小学校で子どもの話し方を見聞きすると、普段親が子どもにどのように接しているかがわかるともいわれています。親が正しい会話を心がけることで、子どもも自然とわかりやすい話し方をするようになるでしょう。家族だからこそ5W1Hを省略する傾向にあります。子どもの人に伝える力を育てるためには、子どもに対して正しい言葉や文章を使って会話することが大切です。
伝える力を伸ばすために親がしてはいけないNG行動
心に余裕がないとつい子どもに強く当たってしまうこともあるでしょう。ときには心無い言葉を子どもに言ってしまうこともあるのでは。
この章では、子どもの人に伝える力を伸ばすために親がしてはいけない4つの行動をご紹介します。
子どもの話に対して批判的な発言を繰り返す
子どもの人に伝える力を伸ばすためには、子どもの発言にポジティブな言葉で返すことが大切です。決して、批判的な発言を繰り返してはいけません。というのも、親が批判的な発言ばかりしていると子どもは「話してもどうせ怒られる」「否定される」と感じ、会話する意欲が低下してしまいます。
ときに子どもは親に認めてもらうために、本心とは違う意見や感情を表現するようになる可能性があります。これでは健全なコミュニケーションとはいえませんし、本心を人に伝える力が養われません。親の価値観とは違う発言を子どもがしても、まずは子どもの気持ちを尊重して受け入れる姿勢を持ちましょう。
「直そうとしても無駄だ」と決めつけてしまう
人に伝える力を磨くには時間がかかります。親が子どもの伝える能力に対して「直そうとしても無駄だ」と決めつけてしまうと、子どもはやる気をなくしてしまうでしょう。子どもの能力は伸びる可能性を秘めているものです。
子どもの人に伝える力の伸び方は、一人ひとり違います。毎日少しずつ伸びてくる子もいれば、ある日突然グンと伸びる子もいます。また教育の成果が出るまで時間を要する子もいるでしょう。一人ひとりの個性を認め、長い目で見守っていくことが大切です。
子どもが会話したくなくなるほど、質問を詰めてしまう
基本的に子どもは親に自分の話を聞いてもらったり、共感してもらったりすることを好みます。しかしコミュニケーションが親からの一方的なものになってしまうと、「会話したくない」と思ってしまうこともあるでしょう。
代表的なものが質問攻めです。例えば「それってどういうこと?」「なんでそんなことしたの?」「どう思ってるの?」「自分の意見はないの?」など矢継ぎ早に質問されると、怒られているような感覚になってしまいます。人に伝える力を伸ばすためには、子どもの話をしたい気持ちを尊重しましょう。
子どもが伝えられずもどかしくなっている時にしかってしまう
子どもの伝える力を伸ばすためには、子どもの話すペースに合わせて聞いてあげることが大切です。子どもは語彙力や表現力が未熟なため、気持ちを言葉にするのに時間を要します。どのような言葉が気持ちを表現するのに適切か、子ども自身もわからずに困っているのかもしれません。
そのタイミングで親に「黙ってちゃわからないでしょ!」「ちゃんと言葉にしなさい!」と言われると「一生懸命がんばっているのに……」と自分の尊厳を傷つけられたような気持ちになってしまいます。
毎日習慣化させることが大切!
人に伝える力を磨くために大切なポイントは、毎日の習慣化です。例えば、人に伝える力はコミュニケーションの中で育まれます。しかし、一週間に一度思いっきり話すだけではなかなか身につきませんよね。短時間でも毎日子どもと会話して、語彙力や表現力を増やしていくことが大切です。
しつけや学習以外に、会話自体を楽しむ時間を設けましょう。親から注意されたりしかられたりする時間は、会話中であっても子どもにとってはストレスです。反対に「楽しい」と感じることは継続しやすくなります。
子どもにとって何が楽しいのかを考えてコミュニケーションをとるようにしましょう。例えば子どもがゲーム好きなら、操作方法を教えてもらうことで子どもは会話が楽しいと感じるはずです。また、漫画が好きならキャラクターや物語の解説をしてもらうのもよいでしょう。何事も楽しみながら毎日習慣化することを重視してくださいね。
子どもと一緒にできるトレーニング方法
ただ会話を重ねるだけではなく、ゲームや遊びの要素を取り入れることで子どもは楽しみながら人に伝える力を伸ばしていきます。子どもと同じ目線で一緒に楽しみながら人に伝える力を育んでいきましょう。
ここでは、人に伝える力を伸ばすために子どもと一緒にできる方法をご紹介します。
しりとりを繰り返し、たくさんの言葉を習得するトレーニング
人に伝える力を伸ばすためには、子どもの語彙力を増やすことが必要です。語彙力で大切なのは、知っている言葉の数ではありません。TPOに応じて言葉の引き出しを的確に開けて選択する能力も含まれます。そこでおすすめしたいのが、しりとりのトレーニングです。
子どもの語彙力が増えてきたら、しりとりのテーマを決めるのもよいでしょう。ステップアップの例では、食べ物やカタカナ言葉のしりとりなどがおすすめです。他には「自分の好きなものだけでしりとりをしよう」と決めると、子どもの意外な一面が見られるかもしれません。
語彙力を鍛えるトレーニング
しりとり以外で語彙力を鍛えるトレーニングとしておすすめなのが読書です。さまざまなジャンルの本に触れることで新しい言葉や表現がインプットされ、人に伝える能力が向上していきます。また子どもが本を読み終えたら、本の内容を教えてもらいましょう。
語彙力トレーニングにおいては、言葉を覚えるだけではなく、人に伝えるために頭で整理する過程も重要です。またスマホやタブレットのアプリでは、子ども向けの語彙力トレーニングアプリも展開されています。オンラインで遊べるしりとりアプリもありますので、ぜひ一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか。
「どっちにする?」「好き?嫌い?」の質問を通して感情の言語化トレーニング
人に伝える能力を磨くためには、自分の感情を肯定することが重要です。感情や思考に自信がないと、胸を張って相手に気持ちを伝えることができません。堂々と自分をアピールできる自信が、人に伝える力を後押しします。そこで取り入れたいのが、感情の言語化トレーニングです。
親から子どもに「どっちにする?」「好き?嫌い?」と質問して、子どもの自発的な答えを引き出しましょう。自分の気持ちに素直に従うという経験や、人から尊重されるという経験を繰り返すことで、自分に自信を持てるようになります。
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今回は、子どもが気持ちや思考を人に伝える力を磨くコツや、親のNG行動などをご紹介しました。人に伝える力が磨かれるとコミュニケーションが楽しくなり、家庭や学校での会話が増えるでしょう。
人に気持ちを伝える力を磨くためには、論理的思考力も必要です。物事を体系的に考えることで感情に支配されづらくなり、相手に伝わりやすい言葉で自分の気持ちを表現できます。そして論理的思考力を磨くために取り入れたいのが、プログラミングです。
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