「ICT教育」という言葉を耳にしたことがあるけど、具体的にどのような教育スタイルかはわからないという人もいるのではないでしょうか。

ここでは、ICTの基本的な意味を説明した上で、教育現場において実施されているICT教育のあり方やメリット、デメリットについて解説します。ICTが教育現場でどのように取り入れられて活用されているかを知り、ICT教育の重要性に対する理解を深めるための参考になさってください。

まずはICTの意味を理解しよう

ICTは、英語の「Information and Communication Technology」の頭文字を取り、ICTという略称となります。

直訳すると、「情報伝達技術」を意味する言葉です。現在は、Information Technology(情報技術)の略称であるITとほぼ同義で使われる機会が多いですが、厳密には両者には違いがあります。ITは技術そのものに焦点を当てている言葉であるのに対して、Communication というキーワードを含むICTは、情報の共有に力点が置かれた言葉です。情報伝達するためのコミュニケーションの側面を重視する言葉であり、ICT社会といった表現で使われるケースもみられます。

 

また、ICTとよく似た響きの言葉としては、IoTも挙げられます。IoTは、英語の「Internet of Things」の頭文字を取った略称で、モノのインターネットと直訳されます。IoTは、ICTの技術を製品に活用した一分野です。テレビ番組のリアルタイムの情報を得る、オーブンレンジでレシピを調べる、といったインターネットに接続して使用する機能を備えた電化製品は、IoTの代表的な例です。スマートフォンやタブレットで遠隔操作ができるエアコンや照明器具などにも、IoTの技術が応用されています。

 

教育現場におけるICT教育とは?

 

ICT教育の導入が促進された背景には新型コロナウィルスも影響しています。

2020年3月に新型コロナウィルスの感染拡大を受けて、全国で一斉休校が実施され、学校が再開された後も従来通りのコミュニケーションを取るのは難しい時代が到来しました。学級閉鎖や休校が相次ぐなかで、デジタル端末を活用したICT教育の重要性が改めて見直され、教育現場に急速にICT教育が浸透してゆきました。自治体によっては、GIGAスクール構想によるデジタル端末の配布のスケジュールを前倒しして、早期にデジタル端末の配布を完了した例もみられます。

 

では、教育現場で実施されているICT教育とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。

 

ICT教育は、従来はアナログ形式で行っていた教育のデジタル化を指します。アナログ形式の時代には、金属製の黒板にチョークと黒板消しを使って授業が進められていましたが、現在はより高性能で使い勝手の良い電子黒板の導入が進んできました。電子黒板には、従来の黒板と同様に文字の書き込みができるだけでなく、画像や動画の投影もできることから、授業内容の定着を促すための資料の提示方法の幅がぐんと広がります。さらに、書き込みや投影をしたデータの保存ができるので、授業内で使ってデータを保存し、次回以降の授業で子どもたちの復習の際に利用するといった使い方も可能です。

 

また、タブレット端末やパソコンを取り入れた教育の実施も、ICT教育の実践例です。

学校教育における生徒へのデジタル端末の配布には、文部科学省が推進するGIGAスクール構想が関連しています。GIGAスクール構想は、ICTを活用できる実践的な技術を生徒一人一人が適切に身につけて、ICT社会を生き抜くためのスキルを磨くことを目標としています。個々の生徒に対してデジタル端末を配布することで、それぞれの生徒からのレスポンスを得ることができ、個々の生徒に合ったペースでの学習を実現できるのは、GIGAスクール構想のメリットです。

 

ICT教育ならではのメリットとは?

 

教育現場で積極的に導入されているICT教育には、どのようなメリットがあるのでしょうか。

ICT教育を受ける生徒側のメリットとしては、授業の幅が広がる、モチベーションがアップする、効果的な学習がしやすい、というメリットが挙げられます。

ICT教育とは?で説明をいたしましたところになりますが、従来のアナログ形式の授業では実現できなかった音声や動画を豊富に取り入れた授業を実施することができ、授業の幅が広がります。また、画像や映像といった興味深い資料を使った授業を実施することで、授業に対して退屈だというマイナスイメージを抱いていた生徒が興味を示すようになり、学習意欲が向上します。さらに、生徒にとっては、タブレット端末を操作できるという行動自体が楽しみとなり、前向きな気持ちで取り組むことができるので、効果的な学習が継続しやすいところも魅力です。

 

ICT教育には教える側の立場である教員にもメリットがあります。

教員側のメリットには、効果的な授業を実現しやすい、教員の時間短縮につながる、という点が挙げられます。パソコンやタブレット端末を活用して授業を実施すれば、教員はプリントを配布したり、黒板に板書したりする手間を省くことができ、効率よく授業を進めやすくなります。

また、紙媒体の資料を準備していた時代と比べて、電子データを準備する場合、準備のための時間を大幅に短縮可能です。昨今議論される機会も多い授業外での教員の負担を軽減できるところは、ICT教育の大きなメリットです。また、ICTを積極活用することで、教員同士での情報共有がしやすくなるというメリットもあります。Web上でファイルを共有して、日常的に情報交換ができるため、教員間で有意義な情報活用ができる環境が整います。

 

ICT教育のデメリットや注意点とは?

ICT教育は多様なメリットがある一方で、デメリットや注意点も伴うものです。

ICT教育における大きな課題として挙げられるのが、予期せぬトラブルによって授業が中断されてしまうことです。

何らかの原因によってネットワークが遮断されてしまい、復旧させることが困難な場合、授業を中断せざるを得ません。

アナログ形式の授業と比べて、トラブル発生時に授業の進行に大きな影響を与えてしまうところは、ICT教育のデメリットです。

 

また、ICT教育を実施する上では、教員がICT機器の使用方法を覚えることが不可欠です。

教育現場での業務をこなしながら、新しい知識や技術を身につけることが必要となるため、教員にとっては負担になってしまう可能性もあります。特に、デジタル機器の操作にあまり慣れていない年配の教員の場合、操作方法をマスターするまでに時間が掛かってしまうケースもみられます。教員に対して操作方法やトラブルへの対処方法を適切に伝えることも、ICT教育における課題です。

 

ICT教育は、子どもへの弊害も懸念されています。ICT教育によって、インターネットの利便性を知ってしまうと、ついインターネットに頼ってしまいがちになり、子どもの思考力や想像力が低下するリスクがあります。また、紙に鉛筆やペンで文字を書いていたアナログ式の勉強方法と比べて、読み書きの能力が低下してしまう可能性も考えられます。「読み」に関しては、インターネットで情報収集するうちに難しい漢字も読めるようになるという例も報告されていますが、デジタル機器を使うと、文字を書く機会はどうしても少なくなってしまいます。小学生の頃に、漢字の書き取り学習を行うといったアナログ式の学習の大切さを子どもにきちんと伝えて、書き取りの力を鍛えるようにすることが大切です。

 

デジタル機器を利用した教育をするなら「Wonder Code」

「Information and Communication Technology 」の略称にあたるICTは、情報伝達技術を意味します。学校現場で進められているICT教育の例としては、電子黒板の導入やデジタル端末を使った授業の実施が挙げられます。タブレット端末を使ったICT教育には、授業の幅が広がる、子どもの学習意欲が高まる、といったメリットがあります。電子データを活用することで、授業外の教員の負担を軽減できるところも、ICT教育のメリットです。一方で、トラブル発生時に授業が中断してしまうというリスクがある点は、ICT教育の今後の課題として挙げられます。子どもの思考力や読み書き能力の低下につながる可能性があるという点も、認識しておくことが必要です。

 

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