人工知能を活かした学校教育って、どんな内容?

AI(人工知能)は、日々の生活からビジネス・社会の枠組みにまで浸透しつつあります。そんななか、教育現場においても、人工知能を活かした学校教育への取り組みが進められています。

保護者のなかには、人工知能を活かした教育がどんなものなのかや、家庭でどのように対応すれば良いのかがわからず、不安を感じる方もいるでしょう。

今回は、「AI教育の重要性やデメリット」と「家庭でできるサポート」について解説します。本記事を参考に、AI教育の可能性を最大限に引き出しながら、子どもをサポートしましょう。

AI・AI教育の意味とは

AIは、Artificial intelligence(人工知能)の略称で、人間のように学習し問題を解決する能力を持っています。AI教育とは、このAI技術を教育に取り入れ、学習効率を向上させることを指します。

AIは深層学習(Deep learning)と呼ばれる技術を用いて、人間のように複雑な問題を解決する能力を手に入れました。この技術は、大量のデータからパターンを見つけ出し、コンピューターに学習させるという特徴を持っています。

AI教育では、AIが子どもの学習進度を評価し、その結果に基づいた教材や学習方法が提供されます。そのため、各学習者が自分のペースで学べるようになるのです。進化したAIを使った教育では、一人ひとりに合わせた指導が可能です。学習効率が向上するため、子どもの成績を上げる効果が期待できるでしょう。

AI教育のいいところ・メリット

AIやデジタルテクノロジーの進歩により、AI教育の分野も発達しました。AI教育は、子どもたちの学習をより良いものにする可能性があります。

この章では、AI教育のいいところやメリットを具体的に解説していきます。

子どもの進捗や成績に合わせてサポートできる

AI教育のメリットは、子どもそれぞれの学習進度や成績に合わせ、個別のサポートが可能な点です。

AIは子どもたちの学習進捗を追跡し、子どもそれぞれが必要とする教材や学習方法を提供する能力を持っています。この能力により、小学校におけるクラス内の理解度や進行速度が異なる問題を解決できるでしょう。

たとえば、Knewtonというアダプティブ・ラーニングサービスがあります。このサービスは、子どもそれぞれの学習進捗を追跡し、効率的な学習を手助けしてくれるものです。

AI教育を取り入れることで、それぞれの理解度に合わせた学びができるため、学習効率の向上が期待できるでしょう。

教員の負担が軽減する

教員の負担を軽減できる点も、AI教育のメリットの一つ。これは、教育現場での作業効率化と子どもたちへの個別指導の改善に役立ちます。

AIは、定型的なタスクを自動化する能力を持っています。評価・フィードバック・教材の調整などのタスクをAIに任せれば、教員は子どもたちとの直接的な対話や個別指導に時間をさけるのです。

そのため、教員の負担が軽減し、より質の高い教育の提供を行えるようになるでしょう。

主観的な評価が減り、公平な評価が得られる

AI教育のメリットとして、主観的な評価が減り、より公平で客観的な評価が可能になる点が挙げられます。

人間が評価を行おうとすると、個人的な感情や先入観を持つことがあります。そのため、同じ能力を持った子どもでも、評価が異なる可能性があるのです。

一方、AIは一貫性のある基準に基づき、同じ状況で同じ結果を提供する能力を持っています。人間のように個人的な感情による評価が減るAI教育では、公平な評価が得られやすくなるでしょう。その結果、子どもは自分の能力を正確に把握でき、より効果的な学習に臨めるようになるのです。

ただし、AIの学習パターンや評価基準にバイアスがかかる可能性もあるため、人間の介入が必要な場面もある点には注意が必要です。

蓄積されたデータによって、教育スタイルが進化する

蓄積されたデータによって教育スタイルが進化し、それぞれの子どもに合わせた教育が可能になることもAI教育の利点です。

AIは、子どもの学習進度や勉強方法に関するデータを継続的に収集します。収集したデータに基づいて教育方法を進化させ、これにより子どもの学習の進捗とともに教育の質も改善されていきます。

AI教育により、子どもたちは自分の能力に応じた効果的な学習ができ、成果を最大化しやすくなるでしょう。

AI教育の注意点・デメリット

AI教育をより効果的に取り入れるためには、注意点やデメリットについて認識しておくことが大切です。可能性のあるリスクについて理解し、対策しておかないと、新たな教育格差を生むことも考えられます。

この章では、AI教育の注意点やデメリットについて4つの項目に分けて解説します。

教育のための環境や設備が必要

AI教育のデメリットとして、必要な教育環境や設備の準備が挙げられます。

AI教育には、タブレットやコンピューターなどのIT機器の購入費用・維持費用がかかります。また高速インターネット接続も必要ですが、地域や経済的な条件によっては、導入が難しい場合もあるでしょう。

「GIGAスクール構想」により1人1台の端末配布が推進されていますが、端末の利用の仕方は学校によって異なります。また、それぞれの家庭でのインターネット接続の状況によっては、家庭でのサポートが難しい可能性もあるでしょう。

教員や学校のITリテラシー・IT知識に差がある

教員や学校間に存在するITリテラシーやIT知識の格差も、AI教育の注意点の一つです。この格差が広がると、生徒へのAI教育の質に影響を及ぼす可能性があります。

AIを教育現場に適用するためには、教員がITの基本的な知識を理解し、それを授業に組み入れる力が必要です。しかし教員のなかにはこのような技術に対する知識や経験が乏しい人もおり、その結果、生徒によって学習体験が変わってしまうケースもあるでしょう。

効果的な事例がまだ不足している

AI教育の課題は、長期的な効果を証明する事例がまだ不足している点です。教員や保護者がAI教育を取り入れる上での判断材料が少ないため、AI教育の導入を迷う可能性があります。

AI教育は比較的新しい分野であり、多くの教育機関がまだ取り入れはじめたところです。そのため、AI教育の効果を評価するための長期的な研究や調査はまだ不十分な段階です。また短期的な効果についても、その評価方法や結果が十分に標準化されていないため、各学校や教育機関が個別に効果を見極めなくてはなりません。

AI教育を普及させるためには、その効果を正確に測定し、共有するための体制を整える必要があるでしょう。

失業者やAIに奪われる仕事が増える

AI教育が進化し活用が広がれば、自動化される作業が多くなり、AIに奪われる仕事や失業者が増える可能性があります。

2015年のオックスフォード大学などの調査結果によれば、今後10〜20年の間で約半数の仕事がAIに代替可能ともいわれています。

たとえば、製造業では、組み立てラインでの作業がロボットにより自動化されています。金融業界でもAIが顧客対応やデータ分析を行うことで、これまで人間が行っていた一部の作業が不要になりつつあるのです。

このように、AIの進歩は特定の職を自動化し淘汰する可能性があります。

参考:野村総合研究所「日本の労働人口の 49%が人工知能やロボット等で代替可能に」

AI教育のために、保護者が家庭でできる3つのサポート

子どもたちがデジタル化した未来の社会を生き抜くために、AIに対する理解とその活用スキルがますます重要になっています。子どものAI教育においては、学校だけでなく、各家庭でのサポートも大切なのです。

この章では、子どものAI教育のために、保護者が家庭でできるサポートを3つ紹介します。

デジタルデバイスや通信環境の充実

AI教育を家庭で実施するためには、最低限のデジタルデバイスと安定した通信環境の整備が必要です。

AI教育では、オンラインの学習プラットフォームやAIツールを使用します。これらを利用するためのパソコンやタブレット端末、安定したインターネット接続などがなければ、AI教育を十分に活用するのは難しいでしょう。

AI教育に必要な基礎的な環境を整えることで、子どもが最新の教育方法を活用し、効率的に学べる状態となります

子どものITリテラシーの教育

子どものITリテラシーの教育に取り組むことは、AI教育の効果を最大化するための重要な要素でしょう。

ITリテラシーとは、デジタルデバイスやインターネットの基本的な操作方法、デジタル情報の扱い方などに関する知識や能力のことをいいます。

AI教育は、デジタルデバイスを使ってオンラインの教育プラットフォームやAIツールにアクセスすることを基本としています。デジタル社会でのトラブルを避けるためにも、子どもがITリテラシーを理解していることは必須ともいえるでしょう。

デジタル技術・AI技術を身近に感じる機会の提供

AI教育への受け入れや理解を促進するためにも、子どもにデジタル技術やAI技術を身近に感じる機会を提供することが重要です。そのため、AIやデジタル技術が、社会や日常生活にどのように組み込まれているかを教えてあげると良いでしょう。

たとえば、スマートスピーカーを使うと、子どもたちは自然言語処理というAI技術を日常的に経験できます。また、AIを用いたレコメンデーション機能を持つサービスを通じても、AIが個々の好みを学習し、パーソナライズされたコンテンツを提供する様子を体験できるでしょう

AI技術を実感できる機会の提供は、子どもたちがAI教育の意義を理解するためにできるサポートの一つなのです。

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今回は、AI教育の重要性とデメリット、また保護者が家庭でできるサポートについて紹介しました。

AI教育には、子どもの学習を効率的に行えるというメリットがある一方で、設備導入の必要性や教員ごとに能力差があることなどが懸念事項として挙げられます。

また、AI教育で効果を出すには家庭でのサポートも大切です。デジタルデバイスや通信環境の充実、子どものITリテラシー教育、デジタル技術とのふれあいなどをサポートする必要があるでしょう。

子どもにITリテラシーを身につけさせたり、ロボットなどのデジタル技術を身近に感じさせたりしたいなら、プログラミング教室への参加がおすすめです。

「Wonder Code」では、ロボットの操作などを通してプログラミングを学べるカリキュラムを提供しています。子どもの発達段階に合わせ楽しみながらプログラミングを学ぶなかで、ロボットをはじめとしたデジタル技術を身近に感じられることでしょう。

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