子どもの学習意欲を高めるゲーミフィケーションとは?

「子どもが勉強に集中してくれない」「ゲームや漫画ばかりに夢中で、なかなか勉強に取り組んでくれない」……。そんな悩みを持っている保護者は多いのではないでしょうか。子どもの学習意欲を高めるために、教育で取り入れたい方法の一つがゲーミフィケーションです。

今回は、ゲーミフィケーションの意味や具体的な方法をご紹介します。多くの子どものゲーム好きな特性を活用しながら、学習に楽しく応用していきましょう。勉強にゲームのようなワクワク感を持つことで、子どもも保護者もストレスのない学習習慣が身につきますよ。

ゲーミフィケーションの意味

ゲーミフィケーションとは、ゲーム(おもにコンピューターゲーム)の要素・デザイン・ルールなどを、ゲーム以外の物事に応用する手法です。ゲーミフィケーションを学習に導入することで、勉強にもゲームを楽しく遊ぶように取り組めます。

子どもの学習効果を上げるために欠かせない要素が、モチベーションや興味・関心です。子どもがゲームの操作方法やキャラクターの名前をすぐに覚えるように、算数の方程式や歴史上の人物の名前を覚えられたら素敵ですよね。ゲームの楽しさと学習を仲介してくれるゲーミフィケーションは、子どもが楽しみながら学習を進めていくうえでうってつけの方法といえます。

ゲーミフィケーションが普及した背景

ゲーミフィケーションが注目を浴びたきっかけは、2011年に行われたアメリカの調査会社・ガートナー社による発表です。ガートナー社は、ビジネスの方向性として「4年以内に企業の50%がゲーミフィケーションを導入する」と予測しました。

発表以降、実際に多くの企業がゲーミフィケーションをビジネスに取り入れ、従業員のパフォーマンス・健康管理・教育・計画の立案など、さまざまな要素が改善・向上されています。さらに、ビジネス業界で大きな支持を得ているゲーミフィケーションは、教育関連でも積極的に導入されつつあるのです。

学習に反映しやすいゲームの要素

ここでは、ゲーミフィケーションに反映しやすいゲームの要素をご紹介します。普段テレビゲームにあまり触れない人にとっては「ゲームが勉強の役に立つの?」と懐疑的になってしまいますよね。ゲームのさまざまな要素が与えてくれるモチベーションについて知り、ゲーミフィケーションを正しく取り入れていきましょう。

ミッションやクエストの存在

多くのゲームには、ミッションやクエストが用意されています。ミッションやクエストは、ゲーム内のお使いのような小規模な内容から、強大な敵を倒して世界の平和を救うような大規模な内容までさまざまです。

ゲーミフィケーションに取り入れる場合、クリアによる報酬だけではなく、クリアまでの過程で得られる自己成長や気付きなども重要です。ミッションやクエストは達成感や充実感を与えてくれるため、努力を重ねるなかで自分の成長を実感できます。

レベルアップによるステータスの上昇

とくにロールプレイングゲームに欠かせない要素として、レベルアップによるステータスの上昇が上げられます。具体的に説明しましょう。強い武器を買い、仲間を集め、敵を倒していくなかで、キャラクターは必要な経験値を獲得し、レベルが上昇します。ステータスが上がれば、より強い敵やダンジョンにも挑戦できるのです。

学習やビジネスでも同様に、コツコツ努力を重ねることでスキルや知識レベルが上がっていきますよね。レベル(知識や経験)が低い状態で強い敵(難解な業務やハードルが高い役割)を倒そうとすると、失敗してしまいがちです。ゲーミフィケーションでも、堅実なレベルアップと明確なステータスの上昇が学習意欲につながります。

お助けアイテムやチート級アイテムの存在

ゲームでは、現実と同じようにお助けアイテムやチート級アイテム(まるで裏技やバグのように、ゲームバランスを崩すほど役に立つアイテム)が存在しています。ゲーミフィケーションによるミッションやクエストが難解な場合は、さまざまなアイテムを駆使して敵(課題)に挑む必要があるでしょう。

たとえば、多くのゲームでは「減少した体力を癒す回復魔法」が登場します。現実世界に魔法はありませんが、休憩やちょっとしたおやつといった息抜き、温泉やマッサージなどのリラックス体験が該当します。今まで当たり前に行っていた行為をゲーミフィケーションとして考えることで、ワクワク感を得られるのです。

アイテムをコンプリートする喜び

ゲーミフィケーションでは、アイテムをコンプリートする喜びも学習に反映できます。テレビゲームの楽しさは物語やミッションをクリアするだけではなく、プレイのなかで集められるアイテムやトロフィー(実績)のコレクション要素にも存在しています。

幼少期、特定のモノを集める喜びを感じていた人は多いのではないでしょうか。ゲーミフィケーションでは、テレビゲームのようにトロフィーを集めるシステムを導入します。コレクションをコンプリートしたい欲求を刺激し、能動的に学習に取り組めるようになるでしょう。

ダンジョンやボスを攻略する達成感

大人や子どもに限らず、私たちがテレビゲームに熱中する理由は達成感を味わえるからです。ゲームでは楽しいことばかりではありません。ときには面倒な作業をしたり、何度も挫折を経験したりする場合もあります。

プロセスで苦労を感じるほど、難解なダンジョンや強いボスを攻略したときの達成感・満足感は大きいものです。「やっとクリアできた!」「努力したから倒せた!」というポジティブな感情をゲーミフィケーションに取り入れることで、学習効果の向上が期待できるでしょう。

子ども教育にゲーミフィケーションを導入するメリット

ここでは、子ども教育にゲーミフィケーションを導入するメリットをご紹介します。ゲーミフィケーションは、取り入れるゲーム要素によってさまざまな学習効果が得られるものです。子どもの好きなゲームや学習対象ごとに要素を使い分け、楽しみながら学べる環境をつくっていきましょう。

学習へのモチベーションが上がる

ゲーミフィケーションでは、ゲームを遊んでいるときのようなワクワク感・興奮・達成感・没入感など、さまざまなポジティブな要素が得られます。そのため、ゲーミフィケーションを取り入れることで、学習へのモチベーションが上がるのです。

「子どもがゲームに熱中しすぎて、勉強が後回しになっている」と悩んでいる保護者も多いでしょう。ゲーミフィケーションでは、ゲームのように学習に取り組むシステムが構築されます。その結果、娯楽のようにモチベーションを高く持って学習に励めるのです。

目標を設定しやすい

学習にゲーミフィケーションを導入することで、目標を設定しやすくなります。ゲーミフィケーションでは度々、定量化されたミッションやご褒美が与えられます。定量化とは、曖昧さがなく数字で表現できるように調整することです。

たとえば「〇時までにドリルの〇ページまで終わらせる」や「〇日までに読書感想文を提出可能状態まで完成させる」「クリアの度に好きなお菓子を一つずつ買ってもらえる」などが挙げられます。ゲーミフィケーションによる定量的な目標設定は、子どもと保護者双方の認識を擦り合わせるのにも最適ですよ。

競争心・闘争心が芽生える

競争心や闘争心が芽生えることも、ゲーミフィケーションによるメリットといえます。ゲーミフィケーションでは、ライバルが同じ課題に取り組む場合があります。自分やライバルの進捗を可視化するシステムを構築することで、学習がバトルゲームに変化するのです。

学習意欲を引き出す要素として、競争心や闘争心は有効です。負けたくない相手がいるからこそ、本来のパフォーマンスを最大限に発揮できることもあります。勝つためにどんな努力や工夫をすれば良いのか自分で考える力も身に付きますよ。

学習のヒントに!ゲーミフィケーションを業務に取り入れた企業事例

ゲーミフィケーションは、実際の企業にすでに導入され始めている手法です。ここでは、ゲーミフィケーションを業務に取り入れた企業の事例をご紹介します。ゲーミフィケーションによってどのような心理の変化が現れたのかに注目しながら、家庭学習に反映させていきましょう。

Microsoftのバグチェックゲーム

Microsoft社では、膨大な数のデータのバグをチェックするために、バグチェック自体にゲーミフィケーションを導入しました。バグを見つける度にポイントを獲得できるシステムを構築し、セグメントされたチームごとに獲得ポイントを競わせました。その結果、任意の業務であるにもかかわらず約4,500人が参加したとのことです。

ウォルマートの安全トレーニングゲーム

ウォルマート社では、配送センターの従業員向けにゲーミフィケーションを取り入れました。業務に使う配送機器の充電が完了するまでの3分間で、クイズ形式の安全トレーニングを行うものです。ゲーム要素のあるトレーニングを導入した結果、ヒヤリハット(危険な事態が発生したが、幸いなことに災害には至らなかった事象)が約54%も減少しました。

ゲーミフィケーションの注意点

ここでは、ゲーミフィケーションを取り入れる際の注意点をご紹介します。ゲーミフィケーションは楽しく学習するために適した手段だからこそ、子ども自身の適性や進捗への理解が大切です。ゲーミフィケーションのコツを学び、家庭学習を成功に導いていきましょう。

子どもの状態や進捗に合った目標を設定する

ゲーミフィケーションを導入する際は、子どもの状態や進捗に合った目標を設定してください。ゲーミフィケーションは学習への好奇心を引き出す手段ですが、子ども自身が「楽しい」と思えなければ意味がありません。

本来の実力から離れた目標設定をされたり、努力に対して見返りが少なすぎたりする場合は、楽しさよりもつまらなさ・面倒さのほうが勝ってしまいます。実際のテレビゲームも、面白くなければ熱中できないものです。子どもが「努力したい」と思えるような、丁度いい目標設定を心がけましょう。

課題達成までのプロセスに柔軟性を持つ

ゲーミフィケーションで課題や目標を設定する場合は、達成までのプロセスに柔軟性を持つことが大切です。たとえば最終目標が「〇日までに算数のドリルを一冊終わらせる」の場合、どのようなスパンでドリルに取り組むのかは子ども自身に一任してみましょう。

集中しやすい環境や、自分に合ったスケジュールの感覚は、一人ひとり違います。自室で取り組みたい子もいれば、図書館やカフェのほうが集中できる子もいるものです。とはいえ、計画作成への協力自体は構いません。子どもが楽しく取り組むために、必要以上に干渉しないよう気をつけましょう。

行動に対してフィードバックを与える

ゲーミフィケーションでは、行動に対する迅速なフィードバックが求められます。たとえばテレビゲームでの戦闘では、与えたダメージ・受けたダメージ・獲得した経験値・レベルアップにより上昇したステータスなどが素早く把握できます。

行動により生じた変化を定量的に把握することは、現状への理解やモチベーションアップに直結するものです。よい場合はしっかり賞賛し、課題がある場合は明確な改善点を伝えましょう。

プログラミングはゲーミフィケーションに特化した習い事

「子どもの教育にゲーミフィケーションを取り入れたい」と思っている人におすすめの習い事が、プログラミングです。プログラミングでは、アニメーションやロボットなど子どもの知的好奇心を刺激する要素と触れ合いながら、論理的思考力や問題解決能力などが養えます。

物心がついた頃からデジタルデバイスが身近な世代にとって、プログラミングはまるでゲームで遊ぶように学べる手段の一つです。2020年から小学校ではプログラミング教育が必修化されましたが、実際のプログラミング知識を学ぶためには家庭教育や習い事が必要になるケースが多いでしょう。

子どもの学習意欲を楽しく引き出すなら『Wonder Code』

今回は、ゲーミフィケーションの意味やメリット、実際にゲーミフィケーションを導入する際のポイントなどをご紹介しました。

ゲーミフィケーションに役立つ習い事として、プログラミングが挙げられます。しかし、未経験の子どもにとって自分でコードを組み立てる作業はハードルが高いもの。そのため、初めてのプログラミングでは、遊びや楽しさを感じられるメソッドを取り入れているスクールがおすすめです。

Wonder Codeではロボットをはじめとして、子どもの知的好奇心を刺激する要素を導入しています。「ゲーミフィケーションで子どもの学習効果を上げたい」と思っている人は、ぜひこの機会に無料体験教室や資料請求から始めてみてはいかがでしょうか。