傾聴力とは

私たちは、日々他者とコミュニケーションを取りながら生活しています。円滑な人間関係は人生の幸福度にも影響しますが、そのために必要な能力が傾聴力です。

傾聴力とは、名前の通り他者の話を傾聴できる能力です。傾聴には「相手の話を熱心に聞く」という意味がありますが、コミュニケーションをさらによいものにするためには、耳だけではなく目や心なども使う必要があります。

傾聴は、カウンセリングやコーチングなどで使われる技法でもあります。五感を使って相手の話に耳を傾けることで、相手の話をより深く理解できたり、新しい自分の価値観に気づけたりするのです。したがって、傾聴力とは話を聞くスキルというだけではなく、自己価値を引き上げ人生の幸福度を上げる能力だともいえるでしょう。

今回は、子どもが傾聴力を身につけるメリットや、傾聴力を育む方法などをご紹介します。傾聴を通して子どもが上手に人間関係を築けるように、家庭でできるサポートをしていきましょう。

子どもの頃から傾聴力を身につけるメリット

傾聴力とは、相手を受け入れる「受容」の姿勢と、相手と同じ目線で話すための「共感」が求められる能力です。受容と共感は、学校ではもちろん社会に出ても役立つ能力であり、子どもの頃から傾聴力を身につけることで子どもが人生をさらに生きやすくなります。

子どもにとって日々の小さなコミュニケーションの積み重ねは、人格形成の重要な材料となります。友達と上手くコミュニケーションが取れなければ自分への自信を失ってしまったり、他者に対して疑心暗鬼な気持ちを抱いてしまったりする場合もあるでしょう。

良好な人間関係は自己肯定感につながり、他者や自分を信用できる心を育てますが、そこで重要な能力が傾聴力となります。相手を受け入れ共感する能力を伸ばすことで、より自分らしく、相手にとっても気持ちがよい人間関係を築けるでしょう。

また傾聴力を伸ばしていくと、相手の話の表面に隠された心理や、問題の本質に気づける着眼力なども育っていきます。対話を通して「自分だったらどうするだろう」と深堀りしていくことで、より視野が広く冷静な精神を手に入れられるのです。

高い傾聴力を持つ子どもは、相手の言葉や表情から多くの情報を得られます。そのため、コミュニケーションにおいて高い想像力を持てるのです。例えば、会話の際に「もしかしたら相手はこう思っているかもしれない」とか「この言い方をすると相手を傷つけるかもしれない」などと感じて立ち止まれるため、円滑な人間関係をさらに構築しやすくなるでしょう。

子どもが傾聴スキルを身につけることは可能?

子どもは、大人よりも新しい情報を柔軟に受け取る傾向にあります。大人と比べて物事への先入観や苦手意識があまりないため、新しい物事も積極的に受け入れやすいでしょう。そして、このことは傾聴スキルにおいても同様です。

とはいえ、傾聴スキルは非認知能力(テストや点数で測れない能力)であるため、日々の暮らしの中で子ども自身に実感してもらう必要があります。子どもがコミュニケーションや傾聴を反復して行える環境といえば、一般的に学校と家庭が挙げられます。

子どもは、学校で過ごす中で人間関係の成り立ちや構築方法などを学びますが、これらは授業で教わるわけではありません。人間関係でのトラブルは子どもにとって成長や気づきの種になるものの、問題を解決するためにはやはり傾聴力が必要です。

そのため、学校での人間関係の構築・維持・課題解決のために求められる傾聴力は、家庭で育まれる側面が大きいと考えられます。子どもの柔軟さを前向きに捉えながら、家庭でのコミュニケーションで傾聴力を伸ばしていきましょう。

コミュニケーションを取りながらトレーニングしよう!

子どもの傾聴力を伸ばすために必要なのは、家庭でのトレーニングです。トレーニングと聞くと学習のイメージが強いかもしれませんが、親子が会話し交流しながら、楽しく時間を過ごすことが一番大切です。

傾聴力の育成においては、ただ会話の数を重ねるだけではなく、言葉の奥に隠されたニュアンスを深掘りしていく工程が求められます。子ども自身に自己対話させる機会を与え「よく考えてから発言する」という行為を繰り返してもらうことで、会話への視野が広がっていくでしょう。

その結果、相手の言葉を注意深く観察する能力も養われます。言葉は自己表現の一つでしかなく、実際には言葉にされていない心理が多いと子ども自身が気づくことで、会話の質が上がっていくのです。

例えば、子どもの好き・嫌いな食べ物やキャラクターなどを挙げさせ、なぜ好きなのか、嫌いなのかを言葉にしてもらいましょう。また、喜怒哀楽の感情を細分化し、理由を言葉で教えてもらう方法などもおすすめです。

子どもの傾聴力を育む方法

子どもにとって成長の基盤となるものが、両親や家族と過ごす時間です。傾聴が正しく行われると、学校はもちろん家庭内でのコミュニケーションも円滑になっていきます。自分の気持ちを言語化させる能力がまだ未熟な子どもだからこそ、家族がサポートしながらコミュニケーションの楽しさを教えていきましょう。

ここでは、子どもの傾聴力を育む方法を3つご紹介します。傾聴力は人間関係のトラブルを未然に防止し、子どもの世界をさらに広げてくれます。対話の楽しさや奥深さを通して、子どもの毎日を豊かなものにしていきましょう。

両親が傾聴している姿を見せる

子どもの傾聴力を育むためには、両親が傾聴している姿を日常的に見せることをおすすめします。子どもにとって、最も身近なお手本といえる存在は家族です。両親が対等な目線で対話している姿を見ることで、子ども自身の人間関係の構築にもよい影響が与えられます。

例えば夫婦同士で意見が違っても相手を否定せずに歩み寄ったり、違いを尊重した上で仲よくできる道を模索したりする姿を見せると、子どもは両親を通して良好な関係性の秘訣を学びます。親が言っている言葉や示している姿勢は、そのまま子どもに反映されるものだと認識しましょう。

話を途中で遮らない・子どもの発言を否定しない

傾聴力とは、心地よいコミュニケーションの中で育まれていくものです。そのため、傾聴力を養うためには子どもの話を途中で遮らないことを心がけましょう。子どもが「人との対話は楽しいものである」と認識することで、人の話に耳を傾ける姿勢が育まれていきます。

特に気をつけたいのが、否定の言葉やニュアンスの使い方です。子どもの安全や倫理観に関わるシーン以外では、子どもの発言や意見を否定することは避けましょう。対話の中に否定が多いと、コミュニケーション自体にネガティブなイメージを持ちやすくなります。

基本的にすべての意見を肯定的に受け入れることで、数少ない否定の必要性も印象よく伝わるようになります。子どもの傾聴力の育成は、まず親が子どもの意見を傾聴することがスタートだといえるでしょう。

子どもに強要しない

子どもの傾聴力を伸ばしていくためには、子どもに物事を強要しない姿勢が大切です。本来子どもにとって興味のある物事でも、両親から強要された瞬間にモチベーションが下がるのはよくある話です。

子どもは場を乱したり叱られたりすることを避けるために、表面上は親の指示に従うこともあるでしょう。しかし内心では自分らしい選択ができないことにフラストレーションを抱え、親との人間関係に対しても、「言われたことをやっておけば文句は言われないだろう」などと後ろ向きな印象を抱いてしまいます。

家庭内の人間関係は外にも反映されるため、友人関係においても「相手に本音を言わない・相手の言葉を真摯に受け止めない」という姿勢が構築されやすくなります。傾聴力とは対話への喜びや好奇心から生まれていく力でもあるため、コミュニケーションにマイナスなイメージを与えないためにも、強要は避けるべきだと認識しておきましょう。

たくさんの同年代の子どもとコミュニケーションを取る機会を作ろう

子どもの傾聴力を養うために家庭内でのコミュニケーションが大切なことは、これまで述べた通りです。しかし、家族と話しているだけでは、新しい価値観を受け入れることは難しいでしょう。家庭教育によって傾聴力の学びの種を撒いたら、さらにその力を成長させるため、より多くの同年代の子どもとコミュニケーションを取ることをおすすめします。

相手の話をよく聞き、自分のことのように受け入れ共感し、お互いの関係性をよくする言葉選びをする……。その行為を繰り返すことで育まれる関係性は、子どもの自信につながります。

コミュニケーションの訓練をする相手は、トレンドや感覚などが似通っている同年代の子どもが適しているものです。年齢差の先入観がない状態で対話に挑めるため、常に新鮮な学びが得られるでしょう。

大人になった時に役立つスキルを身につけるなら『Wonder Code』

今回は、傾聴力の意味や子どもの傾聴力の育て方などをご紹介しました。スポーツや勉強などと同様に、傾聴力の向上にも反復練習が大切です。毎日の暮らしの中で子どもの意見としっかり向き合い、傾聴力を育てていきましょう。

傾聴力を育てるためには、他者とコミュニケーションを取る機会が欠かせません。学校外での習い事やボランティア活動などを通してコミュニケーションを取ることで、子どもの傾聴力はどんどん上がっていきます。

例えば今注目されている習い事としては、プログラミングが挙げられます。プログラミングでは、チームを組んでコミュニケーションをとりながら、目標に向かって論理的に歩んでいく力が身につきます。この能力は、社会に出たときにどのような職業でも役に立つ力だといえるでしょう。

Wonder Codeでは、ロボットを取り入れたプログラミング学習で子どもの知的好奇心を刺激し、楽しく傾聴力やコミュニケーション能力を養えるメソッドを導入しています。ぜひこの機会に、無料体験教室や資料請求などから始めてみてはいかがでしょうか。