小学校受験の対策として幼児教室に通うことを検討し始める親御さんは多いものの、いつから始めればいいのか気になる方も多いでしょう。
小学校受験の試験項目には「行動観察」「ペーパーテスト」「面接」などがあります。また、社会性や知性、感性など総合的に判断されるだけではなく、家庭環境や両親の対応力も加味されます。子供の力や環境づくりは、短期間で形成されるものではありません。小学校受験に向けて早めに情報収集をしたうえで準備を始めるのがいいでしょう。
そこで今回は、小学校受験の準備を始める時期と知っておくべき受験対策に関する情報について解説します。
【この記事の目次】
自分の子を受験させたい!
自分の子供をいい小学校に入れたいと思う親は、まずその理由を明確にしましょう。
「〇〇ちゃんも受験するから」「〇〇小学校は評判がいいから」という理由は、親目線であり子供目線ではありません。小学校選択の決定権を他人に委ねていることになります。また、親が望む小学校の教育方針や環境がいいと思っても、実際に通う子供には合わないかもしれません。
小学校受験は子供主体で考える必要があります。また受験の準備過程で子供が楽しそうに準備をしているか、常に観察することも大切です。子供に受験させたいより「子供が受験したい」と思える環境づくりに努めましょう。
小学校受験する7つのメリット
受験には小学校以外にも中学校・高校・大学とあります。中学校以降の受験は、国語・算数(数学)・理科・社会・英語など、それぞれの点数や総合点で決まるのが一般的です。
しかし小学校受験の試験内容は、行動観察、ぺーパーテスト、面接、体操、絵画制作、個別テストなど多岐にわたります。受験では、知・徳・体の基礎力や家庭の教育方針(家庭環境)など総合的に判断されるのです。つまり小学校受験は、子どもの本質を捉えて伸ばしたり教育環境を整えたりする機会といえます。
ここでは、小学校受験するメリットを7つ解説します。
幼い頃から質の高い教育を受けられる
1つめのメリットは、幼い頃から質の高い教育を受けられることです。
小学校受験を検討する際、教育方針や環境を重視する親が多いでしょう。1年生からの6年間は学びに対する姿勢や人間性を磨く重要な時期です。とくに私立小学校は、以下のような独自性のある教育が特徴です。
- 英語やICT教育
- 農業や大型工作、オーケストラなどの体験型教育
- 専科教員の配属など、多様で質の高い教育
優秀な同級生に出会える
小学校受験させる家庭は教育熱心なところが少なくありません。教育に関心が高く教育の大切さを認識しながら育てられた子供もまた、知的好奇心が高く、学ぶのが好きな傾向にあります。そのため、優秀な同級生に多く出会えるチャンスがあるでしょう。
また、家庭の教育方針が同じであるため、通う子供の価値観も似ていると考えられます。たとえ子供同士のトラブルが生じても、互いに譲り合えるゆとりを兼ね備えているのではないでしょうか。
子供の将来に役立つ
小学校受験を経験した場合、学ぶ楽しさを知っていたり好奇心が旺盛であったりする子供が多く、自主的に学ぶ力も身につけています。これは子供の将来に大いに役立つでしょう。また、受験のある小学校では、英語やプログラミング教育を早期に導入している学校もあります。そのため経験と実績を積め、子供の英語力やプログラミングスキルの向上につながるのです。
未来を見据えた教育を提供する小学校での学びは、子どもの将来にプラスの影響を与えるでしょう。
子供の個性を早く見つけ、才能を伸ばすことができる
小学校受験に向けた準備は、今まで気づかなかった子供の個性を発見できたり意外な才能を伸ばしたりするチャンスでもあります。「思っていたより数的感覚が鋭い」「絵の構図が大人にはまねできないくらい上手」など、小学校受験の準備期間に気づき「わが子のいいところを伸ばしたい」と思えるようになります。
小学校受験の準備で気づいた子供の個性と小学校の教育方針の適合性を判断できるのもメリットです。独自の教育方針をもつ小学校で、さらに子供の個性や才能を伸ばす機会が得られます。
小学校によっては、中学・高校・大学受験が必要ない
付属小学校なら、中学・高校あるいは大学まで受験の必要ない場合があります。大学入試制度が「未確定」状態のなか、小学校受験を乗り越えれば、あとは受験することなくエスカレーター式に進めるのがメリットです。
希望する小学校に入学できれば、その後はほぼ無試験で進学できます。選考があっても学内試験や成績判断によるため、一般入試に比べれば安心して学びを進められます。とくに課外活動に集中したい場合は小学校受験が選択肢に入るでしょう。なかには、付属学校に進まず、他校や他大学受験を認めている学校もあるため、状況や実力によっては進路変更も可能です。
親子で協力する姿勢が身につけられる
小学校受験という目標に向かって親子で手を取り合い進むのは貴重な経験になります。幼児期は親の支えが必要です。子供にとって、大好きな家族が自分にたくさん関わり励ましてくれるのは何よりもうれしいことでしょう。
応援してくれる大人がいるのは安心であるのと同時に、自己肯定感や信頼関係の構築につながります。親も子供の見方を変えたり言葉かけに気をつけたりする過程を通して成長できます。小学校受験が親子関係づくりを手助けしてくれるのです。
世代を超えたつながりが生まれる
小学校受験で付属小学校を選ぶ場合、中学・高校あるいは大学までつながります。10年以上の間、世代を超えたつながりが生まれるのです。
同年代の友達だけではなく年上や年下と関われるため、さまざまな体験やイベントを通して、年齢に関係なくきずなが深まります。いざというときアドバイスやサポートをしたり、あるいはされたりすると、お互いに安心するでしょう。大人になっても関係が続き、人脈確保も自然の流れとなります。
小学校受験はいつから準備するべき?
小学校受験の準備は、試験本番の約1年前、年中組にあたる4歳の秋ごろから始める家庭が増えています。年長になって準備を始めるのは遅いかもしれません。長男や長女で初めて小学校受験させる場合はすべてが手探りであるため、早めに準備を開始するのがおすすめです。というのも、親も子も気持ちにゆとりがもて焦らずに受験の準備ができるからです。
受験の準備をするとはいえ、教室や個人塾に通わせるのか、自宅でやるのか、いくつか選択肢があります。とくに母親が小学校受験に関わることが多いでしょう。母親が常に在宅しているのか外で勤務しているのかで、受験の準備方法が異なります。
また、小学校受験の試験科目には知識・理解を問うテストや生活習慣・マナーに関する問題があります。実際に何をどのように準備するのかわからない場合は、専門家に相談するのも一手です。物事を理解するスピードには個人差があります。ゆったりと時間をかけて行動する子供であれば早めに早めに準備に取り掛かるのがいいでしょう。子供の性格を把握したうえで小学校受験の準備時期を決めるのが大切です。
これだけは気をつけて!小学校受験の注意事項
小学校受験を考えている親は、子どもの本質を理解し尊重する姿勢が大切です。「自立した子に育てたい」という目的があれば、目的達成に必要なサポートをします。単純に目的が「小学校受験合格」だけでは、子供の成長にマイナスの影響を与えるかもしれません。
たとえ入学できたとしても、学費や通学費用、必要に応じて塾代……となれば費用もかさみます。家計が火の車とならないように、しっかり予算を立てるのが重要です。
この章では、小学校受験の際に知っておくべき5つの注意事項を解説します。
デメリットもしっかり見ておく
小学校受験にもデメリットはあります。親子で成長できると思って小学校受験の準備をしてきたはずです。それなのに親が子供を追い込むばかり。子供は勉強嫌いになり親子関係が悪くなっては本末転倒です。
親の理想と子供が求めるものにギャップがあれば埋めることも必要です。熱心なあまり子供の本音に目をそらさずにしっかり向き合いましょう。「主体的で創造性豊かな子に育てたい」のに「受験合格」だけが目的とならないよう注意する姿勢が大切です。
家庭の教育方針とズレる小学校は受験しない
受験する小学校は、学校の教育方針に家庭を合わせるのではなく、家庭の教育方針が学校に合っているかという視点で選ぶようにしましょう。
入学後の教育方針に親自身が違和感を抱けば子供は迷います。親が〇〇というのに学校の先生は違うことを言う、となれば子供は混乱し大人に不信感を抱くかもしれません。自分らしさが大切にされ、のびのびと小学校生活を過ごせるのが子供にとっての幸せです。受験校の選定は親の最重要課題と捉えて慎重に選びましょう。
世間体やブランド力だけで受験を決めない
世間体やブランド力だけで小学校受験を決めるのは、親の見栄であり子供のためにはなりません。小学校選びでは、親の欲や見栄を入れないように注意しましょう。
「子どもは受験校を選ぶ力がない」と考えるのは親の勝手な思い込みです。実際に通う子供が「行きたい」「勉強したい」と思えるかが重要です。体験入学や学校説明会を活用し、子供と一緒に受験する学校を選びましょう。子供の何気ない一言を大切にしたり注意深く様子を観察したりして、子供目線で小学校を選ぶことが大切です。
家族全員で協力できるようにする
小学校受験には家族全員の協力は必要です。家族の協力なしで小学校受験は成功しません。
意見の相違で、子供の目前で家族が言い合いをした場合、子供は不安になりますし、言い争いの原因が自分にあると思ってしまいます。同じ目的をもって協力しながら歩めるように十分話し合いましょう。小学校受験の準備や入学後は費用もかかります。予算面での解決は必須です。
小学校受験の準備過程で両親の意見に相違があればそのままにせず、冷静に話し合しあえる場を設けて納得するまでとことん話し合いましょう。
受験費用や学費のことを考えておく
小学校受験にかかる費用は、1年間で230万円とも言われています。試験科目に絵画や運動などがある場合、絵画教室や体操教室に通わせる必要がありケースも。塾代や模試、各種講座費用などを含めると、かなり高額になることが予想されます。
また「首都圏私立小学校 初年度費用一覧」によれば、初年度の学費合計額は60〜150万円台となっています。さらに受験料1万~3万円、寄付金なども加わることも認識しておきましょう。一般的に教育費は、手取り収入の10%以内に抑えるべきだといわれています。予算を立てて資金確保の見通しをもつなど早めの対応が必要です。
いい教育を受けることで、子供の将来の幸せにつながる
いい教育とは、自立と共生のバランスがとれた人間を育てることだと言われています。自立と共生のバランスがとれた人間とは、次のような人を指します。
- 自分にも人にも誠実である
- 自分の考えをしっかりもっている
- 人の話に耳を傾けられる
- 自分のよさを自覚している
- 個性や才能を人のために活かそうとする
- どのような人にも公平に接する
人間は、生まれたときから人との関わりの中で成長し続けます。親、祖父母、兄弟姉妹、友達、師弟など、さまざまな関係性があります。成長の過程で「自分は〇〇が得意だ、自信がある、だからその力を発揮して社会の役に立ちたい」と思えることが重要です。いい教育はいい環境から、といえます。受験は子供がいい環境で成長するための1つの方法なのです。
親子で成長できるお受験対策!
ここでは、親子で成長できる小学校の受験対策を5つ解説します。解説した内容を実践すれば、小学校受験に向けた準備段階から、親子関係がよりよく形成され、子供自身の成長にも良い影響を与えます。
親子が1つの目標に向かって共に努力を積み重ねるのは、すべての人が経験できるものではありません。長期にわたる受験対策は、将来に活かせる力や人間性を育みます。ぜひ実践してみましょう。
個別塾で先生から学ぶ
小学校受験に挑戦すると決めた場合は、経験と実績のある個別塾を活用するのがおすすめです。小学校受験では、専門的な知識や情報収集が必要になります。また、親とは違う視点で子供の特性を見抜いてくれる塾の先生は、親子にとって心強く、受験に対して安心材料となるでしょう。
ただし、ほかの人が勧める塾がわが子に合っているとは限りません。子供の個性を伸ばすのが目的であれば、塾が子供に合っているかどうか、また親が相談しやすい体制が整えられているかという視点から判断してみましょう。
子供との時間を増やす
親子で成長できるお受験対策の一つに、子どもとの時間を増やすことが挙げられます。
小学校受験の準備を通して、子供の個性を伸ばし才能を見つけ出そうとする姿勢は親子関係に変化を与えます。強要したり怒ったりすれば、いくら子供との時間が増えるとはいえ関係がこじれてしまうでしょう。子供との時間を増やす場合も、子供の本質を大切にして一緒に成長するつもりで接するようにします。目的を共有する同志のように、支え合いながら二人三脚で進むようにすると、とくに子供は大きな安心感を得られます。
入学させたい学校の目星をつけておく
入学させたい小学校の目星をつけておくのも、親子で成長できる受験対策の一つです。小学校の選択はとても大切です。教育方針の合う小学校の中から子供自身が行きたいと思う小学校も選択肢に入れましょう。そうすることで、親子で同じ目標とする小学校の受験対策を講じることができます。
入学させたい小学校の目星をつける際に大切なのは、学校案内を冷静に分析することです。教育方針や教育環境、カリキュラムなどを把握するだけではなく、子供にとって柱となる決め手を作ることが必要です。親がいいと思う学校でも子供が気乗りしない場合は、子供に理由を聞いてみましょう。子供の思いを尊重し、総合的に判断して「〇〇小学校にする」と決めた場合は自信をもって受験準備を進めます。
最新のタブレットなどを利用し、親子で楽しく勉強する
最新の教育環境が整っているかどうかで、小学校側が子供の将来をいかに見据えているのかが判断できます。同じように、親子で小学校受験の準備をする際も、積極的にタブレットを活用する姿勢が大切です。
親が苦手だからといって、タブレットを遠ざければ子供に不利となります。教えるという感覚でなく、一緒に学ぶ感覚でいいのです。子供から教わる場合もあります。「へえ、すごいね」と褒める機会が増えれば、子供はうれしいものです
積極的に学校に足を運ぶ
塾に行く、学ぶ、遊ぶのに加えて、小学校に足を運ぶ機会を設定し、親子が一緒にいる時間が増やしてみましょう。
不安を感じやすい子どもであれば、初めて入る学校の雰囲気に緊張してしまうかもしれません。そのとき「ダメでしょ」ではなく「大丈夫だよ」と温かい言葉でサポートしてあげることが大切です。小学校訪問や体験教室などの回数が増えれば、少しずつ慣れていきます。足を運ぶ際は、親子で「いいことみつけ」「はてなみつけ」などをして、帰宅後にその答えを共有するのも楽しい時間となるでしょう。
多くのスキルを身につけておくことが大切
小学校受験は、準備段階から親子のかかわりが増えます。また受験は、親や塾の先生が子供の個性を見抜いたり子供に自信をつけさせたりできる良い機会です。
ただし、子どもの個性や才能が〇〇だと決めつけるのはよくありません。決めつけるのは見えない可能性を削ぐ場合があります。小学校の受験準備では、多角的な視点で多くのスキルを身につけられるようにするのも大切です。
小学校受験はゴールではなくスタートラインです。どのような結果であれ、受験校の選定から受験まで親子が一緒に取り組める経験は何にも代えがたい宝となります。小学校受験を子供の力を伸ばすチャンスと捉え、入学後も子供の成長をサポートし続けましょう。