【この記事の目次】
アクティブラーニングとは
今、児童教育において大きな注目を集めている「アクティブラーニング」をご存知でしょうか。アクティブラーニングとは、教育を受ける側の人物が受け身にならず、学習に能動的になるように設計された学習方法です。
もともとは大学教育の在り方の中で使われる用語でしたが、現在は小学生や中学生などの義務教育においてもアクティブラーニングの考え方が取り入れられています。アクティブラーニングではただ知識を詰め込むだけではなく、知識や学力を活用する方法について子ども自身が考える能力が身につきます。
情報化により複雑になる社会に対して、日本がものづくり大国として他国をリードするためにも、アクティブラーニングによる学習が注目されているのです。今回は、アクティブラーニングにより身につくスキルや具体的な実践例についてご紹介します。
アクティブラーニングにより身につくスキル
まず、アクティブラーニングにより身につくスキルについてご紹介します。
- 自発性・能動性
- 問題解決力
- 多様な価値観を受け入れる力
- 表現力・コミュニケーション力
クラスごとにただ同じ授業を受けているだけでは、子どもの個性や能力は育ちにくいでしょう。アクティブラーニングならではのメリットを理解し、教育に役立てることで子どもの可能性が広がります。
自発性・能動性
アクティブラーニングでは、学習の中で自発性や能動性が身につきます。物事への主体性が高まり、自ら率先して行動に移すための能力が養われるでしょう。自発性や能動性の能力は学習効果を上げるだけではなく、社会に出たときに活躍するための武器にもなります。
例えば自らアイデアを提案する能力やプレゼンする能力、そのために忍耐強く準備を行うための能力にもつながります。何事にもモチベーションが高い状態で臨めるため、社会人になった後でも知識を深めるために行動できる人間性が養われるでしょう。
問題解決能力
アクティブラーニングでは議題やテーマが設けられるシーンが多く、問題解決能力が求められます。感情論だけで「好き・嫌い」を主張するのではなく、主題を肯定・否定する立場になることで思考を言語化し、議論を行います。
その結果、物事を順序立てて考えて説明するための論理的思考力が育まれ、論理性に基づいた問題解決能力も同時に養われることが特徴です。問題解決型授業は「PBL」と呼ばれ、アクティブラーニングの特徴のひとつでもあります。
多様な価値観を受け入れる力
アクティブラーニングでは、プレゼンやグループワークなどの他者との関わりによる学習が中心です。座学だけではなく、他者とのコミュニケーションの中で自分の価値観と対峙し、相手の価値観を受け入れる力が身につきます。
アクティブラーニングが求められる背景には、年々複雑になる情報化社会に対応できる人材づくりの側面があります。ビジネスパーソンとして成功するためには、他者や世の中の視点を受け入れるキャパシティが必要です。アクティブラーニングは、自分以外の価値観を認識するためのシミュレーションにもなるのです。
表現力・コミュニケーション力
アクティブラーニングでは自己表現の機会に恵まれます。自分の意見を人前でプレゼンしたり、意見を正当化するためのエビテンスや背景を説明したりなど、伝える側・伝えられる側に分かれてのコミュニケーションが多い傾向にあります。
自分の意見を正しく伝えるためには、気持ちの強さだけではなく語彙力やコミュニケーション能力が必要です。自分が伝えやすい言葉ではなく、相手にとって伝わりやすい言葉を選ぶ中で、対人スキルが向上していくでしょう。
アクティブラーニングの具体例・事例
アクティブラーニングは教師個人の活動ではなく、学習教科によって組織的な取り組みが多いとされています。アクティブラーニングの導入率は年々高まっていますが、学校や教科によって授業のタイプはさまざまです。
ここでは、アクティブラーニングの具体例や事例をご紹介します。
- グループディスカッション
- ディベート
- グループワーク
- プレゼンテーション
学校での取り組みと照らし合わせながら、馴染みが薄い領域では家庭学習や習い事などを活用し、子どもの主体性を育てていきましょう。
グループディスカッション
グループディスカッションは、文部科学省が推進しているアクティブラーニングのひとつです。特定のテーマに沿って複数人で意見を交換し、自分らしさを獲得したり他者の意見を取り入れたりすることが目的です。ディスカッションの特性上2人いれば成立しますが、一般的には3人以上のグループで行うものをグループディスカッションと呼びます。
グループディスカッションでは、何からしらの形で結論を形にする必要はありません。ただし、異なる意見を最終的に一つにまとめる力が求められます。主にその役割は特定のリーダーが行い、誰しもが一度リーダーの役割を担うことでコミュニケーションの難しさや面白さを学びます。
ディベート
ディベートでは、特定のテーマに対して最初から「賛成派か反対派か」で分かれることが特徴です。グループディスカッションとは違い、二つの派閥で議論を行うことで最終的に勝敗をジャッジします。ジャッジは議論している本人たちではなく、先生や他の生徒などの第三者によって下されます。
勝敗の基準は論理性や説得力であるため、感情に流されないチームや説得性の高いエビテンスを所持しているチームが有利といえるでしょう。相手の論理を攻撃するのではなく、自らのチームの意見に正当性を与えることが重要です。
グループワーク
グループワークでは、グループディスカッションと同様に複数人で特定のテーマについてディスカッションを行います。グループディスカッションとの違いは、最終的に何らかの形でアウトプットを行う必要があることです。
アウトプットの方法は、レポートやポスター・プレゼンなどさまざまです。グループディスカッションの目的が意見交換であれば、グループワークの目的は「明確な結論を可視化させること」だといえます。メンバー内で意見が割れた際にどのような着地するのかが生徒の腕の見せどころです。
プレゼンテーション
プレゼンテーションは人前で意見を発信する行為であると同時に、自らの考えを簡潔・正確に伝えるためのテクニックでもあります。子どもの頃からプレゼンテーションを行うことで、文章構成能力や相手の立場になって考える能力、人前で緊張しない精神などが身につきます。
テーマに沿った上で、自分の力だけで相手に伝わるプレゼンを行うため、主体性のある準備が必要です。メモを見ずにスラスラ喋れるように反復練習したり、スライドや資料を用意したりなど、能動的な行動が求められるでしょう。
子どもの能力を引き出す!アクティブラーニングの実践例
ここでは、アクティブラーニングのより具体的な実践例をご紹介します。アクティブラーニングは家庭で取り入れやすい方法が多いことも特徴です。親子で楽しくコミュニケーションを行いながら、子どもの能力を幅広く引き出していきましょう。
身近な「どっち派?」のテーマでディベートする
小学生にとってディベートは少し難しい印象があるかもしれませんが、お題が身近なものであればスムーズに参加できます。例えば「犬と猫のどっちが好き?」や「ごはんとパンのどっちが好き?」などのように、子ども自身が意見を述べやすいテーマを選んでみましょう。
ただしディベートの特性上、最終的に勝敗をジャッジする必要があります。子どもが否定的な意見にショックを受けやすい性格の場合は、まずはグループディスカッションから始めてみるのもよいでしょう。子どもが成長し、自分以外の意見を受け入れられる心の土壌ができてからディベートに移行するのもひとつの手段です。
社会問題について話し合う
社会問題について話し合うことは、アクティブラーニングのよい取り入れ方です。例えば「地球温暖化」をテーマにして話し合う場合は、以下のような順番で子どもに問いかけてみましょう。
- どうして地球温暖化が進んでいるの?
- どうして地球温暖化が問題なの?
- 解決するためにはどうすればいいの?
- 解決方法があるなら、みんなでその方法を試さない理由は何?
- 一番いい解決方法はなんだと思う?
子どもがスムーズに回答できない場合は自分で調べてもらうと、学習への主体性も身につきます。話し合う際は親の知識量や倫理観も同時に試されるため、子どもの意見を軽視せずに対等な目線で意見交換を行うことが大切です。お互いの意見を否定するのではなく、さまざまな価値観を受け入れることを目的としましょう。
欲しいものや要望についてプレゼンしてもらう
子どもが親に買ってほしいものがあったり、叶えてほしいお願いがあったりする場合は、内容に対してのプレゼンをしてもらうことをおすすめします。子どもの要望が切実なものであるほど、親を納得させるためにしっかりと準備をしてくれるでしょう。
準備に伴う努力の過程から実際のプレゼンまでが、アクティブラーニングの学習になります。プレゼン内容に不備がある場合はフィードバックを行い改善してもらいましょう。指摘には威圧感を伴わせず、適切に冷静なアドバイスを行うことがポイントです。
複数人で1枚のポスターを作る
異なる価値観を持つ者同士で、1枚のポスターを作る方法もアクティブラーニングのひとつです。意見をすり合わせて成果物を共作する行為は、グループワークに含まれます。特定のテーマを与え、話し合いの時間を設けた上で制作を開始してもらいましょう。
テーマに対する意見を統合させるだけではなく、ポスター制作における役割分担でも、子どもたちの主体性やコミュニケーション能力が磨かれます。それぞれの意見への矛盾点や反対意見を話し合った上で、グループ内の最大公約数としての回答を出せるよう周りはサポートしましょう。
アクティブラーニングを学ぶ子どもに求められる姿勢
ここでは、アクティブラーニングを学ぶ子どもに求められる姿勢についてご紹介します。
- 自分とは違う考えを受け入れる姿勢
- 予習して議論に備える姿勢
- 主体的に知識を得ようとする姿勢
アクティブラーニングの学習効果をさらに高めるためには、子ども自身の準備が必要です。よい意味で緊張感を持てるように、学習姿勢の在り方を保護者がサポートしてあげましょう。
自分とは違う考えを受け入れる姿勢
アクティブラーニングを行う際には、自分とは違う考えを受け入れる姿勢が求められます。子どもはアクティブラーニングの中で、今までの自分にはなかった視野や価値観と対峙する必要があります。
意見がすれ違った際に「自分の意見と違うから」と否定するのではなく、なぜ相手がそのような意見を持っているのかを傾聴し、受け入れる精神が必要になるのです。
予習して議論に備える姿勢
アクティブラーニングでは、ディベートやグループディスカッションに代表される「議論」に主軸を置いた学習が行われます。社会経験のある大人でも、予備知識なしに議論を行うのは困難です。
議論を行うまでに自分なりに知識を取り入れ、論理的な発言ができるよう準備をしておくことが大切です。その結果、感情的になりにくい状態で冷静な対話ができるでしょう。また話し合い自体の質も上がり、より実りのある学習時間になります。
主体的に知識を得ようとする姿勢
アクティブラーニングを行う際は、主体的に知識を得ようとする姿勢が重要です。当日までの準備はもちろん、実際に話し合いをする際に相手の話を掘り下げたり、自分と違う意見でも肯定的に受け入れたりすることで、知識や価値観がどんどん広がっていきます。
能動的に知識を追い求める姿勢を持てていれば、アクティブラーニングの前と後で見える世界が広がっているはずです。既存の知識や固定観念だけに収まらぬよう、アクティブラーニングの時間を有効活用していきましょう。
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今回は、アクティブラーニングの意味や取り入れ方、学習に臨む際のポイントなどをご紹介しました。アクティブラーニングの大きなメリットは、学習そのものへの能動性を獲得できることです。学習にポジティブな感情を抱ければ、他の科目や習い事でも主体的に取り組める可能性が増えるでしょう。
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